「東アジア反日武装戦線と私たちの来た道,行く道」(『紙の爆弾』7月号) | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


 監獄(刑務所)は私たちのいる社会からは隔絶しているようで,実は深いところで有機的につながっている。私たちは囚人なのであり,囚人は私たちなのだ。――

 掲題の記事での浴田由紀子さんの発言を読んで,そんな思いを強くした。いわば社会の暗部や底辺の問題が監獄に押し込められている。だから,監獄を見れば社会の本質的な問題が何かをとらえることができるのではないだろうか。

 浴田さんは,・・・法務省の無理解,刑務官の縁故採用の多さについて憤り,「地べたに這いつくばるようにしながら生きねばならない人間を知らない」と批判。そして,「今度,私,ここに×年しかいられないの」と口にしながら二〇〇~三〇〇円のスリで一~二年間服役することを十年間で三回ほど繰り返す女性や,五〇〇円の万引きで服役することにより,重い知的障害をもつ四十代の息子を施設に送って世間の「白い目」や親戚の「世間体」の問題から逃れる人とも知り合ったという。
 「私は彼女たちとの出会いを通じ,世の中を生きている人の本当の姿を知らなかったことに気づき,刑務所に入ってよかったと思った。そしてある時,『世の中を変えたいと思い,これだけ長く刑務所にいた女性は,ほかにいないのではないか』と思い至り,私なりの責任を取ろうと考えるようになる。犯罪者・出獄者の気持ちを理解する私が,出獄した女性たちの助け合い社会・ネットワーク,人間性を奪う刑務所に行かずにすみ,行政に頼らないシステムをささやかなものからでもつくりたい。これが私の役割・新たな仕事と考えている」

  (『紙の爆弾』7月号p.117)


 刑務所生活やアラブでの活動など浴田さんの経験は貴重であり,今後の活動に生かしていってもらいたいと思うのだが,それにしても浴田さんが出所した矢先の大道寺さんの死は,残念でならない。先日は「大道寺さんは獄中死刑囚の生きる希望の光でした」との言葉を支援者の方から頂いた。大道寺さんの獄中での闘いは,必ずや獄外の社会にもつながるだろうと私は信じていた。彼は私たちの希望の光でもあり得たのである。私たちはいつ権力に殺されるかわからない死刑囚なのであり,また死刑囚たちはこの世を生きている私たちなのだから。

 なお,『週刊金曜日』6/2号に太田昌国さんによる大道寺さんの追悼文が載っていたので,下に掲げた。大道寺さんが獄中で抱えていた思いを俳句とともに伝えるすぐれたエッセイになっているので,お読み下さい。

いなびかりせんなき悔いのまた溢る




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