空は屋根のかなたに… | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


 そういえば今年の1月,本ブログで荷風の訳詩「偶成」を紹介していた。世界最強のHOMOSEXUAL詩人,ヴェルレーヌの「空は屋根の彼方に…」という詩を訳したものだ(この原詩の簡単な背景は1月のブログを参照)。とても心に染み入る詩であるので,恐縮ながら再録させていただく。

 堀口大学や橋本一明の訳があるが,フランス文学や語学に通暁していた荷風の訳は,やはり秀逸!是非,味わって詠んでいただきたい。

 お前は過去に何かを成し遂げたか!お前は若い頃に何をしたか!―――家の窓からわずかに見える空を眺めながら問いかけよ!そして,唯ゝ嘆け!!


     
偶成  ポオル・ヴェルレエン(永井荷風訳)

空は屋根のかなたに
  かくもしづかにかくも青し。
樹は屋根のかなたに
  青き葉をゆする。

打仰うちあふぐ空高く御寺みてらの鐘は
  やはらかに鳴る。
打仰ぐ樹の上に鳥は
  かなしく歌ふ。

あゝ神よ。質朴なる人生は
  かしこなりけり。
かの平和なる物のひゞきは
  街よりきたる。

君、過ぎし日に何をかなせし。
  君今こゝに唯だ嘆く。
語れや、君、そもそもわかき折
  なにをかなせし。



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