今年の流行語大賞は早くも「伊達直人」に決定だろう。ビアスや漱石,あるいは芥川龍之介と同じく,僕も同時代に絶望する者として,今の世の中を映し出す言葉をピックアップし,独自の定義を与えて辞典を作ってみようと思う。題して『悪魔の新語辞典』。今日の新語は「伊達直人」「タイガーマスク」。
伊達直人
① 1960年代から70年代にかけて人気を博した漫画「タイガーマスク」の主人公。伊達直人は,悪役レスラー養成機関「虎の穴」に入り,プロレスラーとして活躍するが,本来「虎の穴」に納めるべき上納金を,自分が子どもの頃に育った児童養護施設に寄付するようになる(特別背任罪)。子どもたちには自分がタイガーマスクであることは告げず,お金や物だけを与え続け,資本主義の世の中は"お金"で成り立っていることを自らの行動で示す。そして最後,最終回では覆面を剥がされたことに怒り,凶悪な反則行為を繰り返し犯すことによって子どもたちの夢を粉砕した。
② 21世紀に入り,児童養護施設に物やお金を寄付した,全国のおそらく50歳代の男性を中心とする人たちが,自分の本名は名乗らずに,わざわざ使った偽名。これも,資本主義の世の中では人間と人間との関係が物と物との関係に逆転して現れ,人間的な絆が希薄化した当時の世相を反映する現象。同時に,日本の寄付制度の貧弱さと児童福祉施設の困窮も露呈することとなった。
タイガーマスク
漫画「タイガーマスク」は氷に似ている。もっとも時には氷砂糖にも似ている。注)
注) 冷たい非人間的な描写のなかに人間的な姿が描かれている,という意味。
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タイガーマスク最終回「去りゆく虎」← やっぱり最後の反則シーンは子どもには見せられない。エンディング・テーマは泣ける。
チビタイガーマスク ←これもある意味,子どもたちには見せたくない。DJ AKIさんのブログで見て,アップした。


