NAOTOさんから連絡がきたのはお願いしてから1週間後。




スケジュールのわずかな空き時間になるが食事でもとのこと。




約束の店に着くと既に金森氏は居た。




岩「こんにちは。」




金森「!こんにちは、金森です。」




岩「初めまして。いや改めまして岩田剛典と申します。」




金森「今日はどんな話ができるか楽しみにしていましたよ。」




岩「俺もです。早速ですが先日のパーティーでバイオリニストの石神さんにされたこと覚えていますよね?」




金森「ははっ、なにかと思えば…。あんなイタズラに本気になるなんて、面白すぎますよ岩田さん。」




岩「は?」




金森「あのパーティーでのこと気にされてるんなら岩田さん甘すぎですよ。

あの子のことは俺の女に言われてちょっとからかっただけですよ。」




岩「それ、あなたの大切な人が同じことされても許せますか?

俺は絶対に許せません。

彼女に謝ってください。」





金森「あんなん挨拶ですよ。

挨拶について謝る気はありません。」




岩「分かりました…そうですか。

ではあなたの事務所にお話することにします。」




金森「はぁ?あんたバカか。

そんな話したら岩田さんがあの子と付き合ってるってこと自分から言ってるようなもんですよ。

痛い目みるのは岩田さんになりますよ。」




岩「俺が痛い目?そんなことはどうでもいいんです。

大切な人が悲しんでいるのに自分の都合を天秤にかけることすら間違ってる。」




金森「へー岩田さんは精神も男前ですね。」




岩「イヤミならもういいです。」



金森「いや違いますよ、素直に褒めてるんです。ついつい昔を少し思い出してしまいました。

…分かりました、謝ります。

すみませんでした。」




岩「俺ではなく石神さんに謝ってください。」




金森「それなら……。これで良いですよね。」




金森氏は鞄から取り出した紙に

『先日は申し訳ありませんでした。金森』

と書いて渡してきた




金森「それじゃぁ次の予定があるんで失礼します。」




がんちゃんはその紙をクシャクシャにしてしまいたい気持ちをグッと拳の中に抑えた。