臣「こっち。」



臣くんが私の右手を強く握った



「ちょっ、ちょっと待って」



早足で歩く臣くんの歩幅についていけなくて足がモツレそう



臣「急げって。」



「でも、私…」



臣「あーもう、黙って歩けよ。」



「…。」



臣「…。」



「いっ…。」



臣「ん?」



「かかとが痛い。新しい靴だから靴擦れになっちゃったかも。」



臣「大丈夫か?ったく仕方ねぇなぁ。」



臣くんは手を離すと私の前に背を向けてしゃがんだ。



臣「ほら。」



「えっ、」



臣「乗れよ。」



「でも…私重たいよ?」



臣「そんなこと知ってる。」



「意地悪~!(笑)疲れても知りませんよ~だ!」



靴を手に持ち、勢いよく臣くんの背中に乗った



臣「わ、お前っ、危ないだろ!」



「えへへ(笑)」



臣「ちゃんと掴まれよ。」



「…うん。ねぇ、あの日と同じだね。」



臣「は?」



「ほら、小学生の時。私が自転車で転んで靴なくしちゃった時。」



臣「ははっ、あったなぁそんなこと。あれはお前が目瞑ったまま自転車に乗ってまっすぐ走れるかとかなんとか試してて田んぼに落ちたんだよな~(笑)」



「そうそう、私ったらバカなことしてたよね(笑)」



臣「あの頃は毎日一緒に遊んでよな。」



「そりゃぁ、家は隣同士、クラスも同じ幼なじみだもん。」



臣「あれからもう20年以上経つんだなー」



「時間ってあっという間だね。」