莉子「わぁ!綺麗な夜景~!」




がんちゃんと都内のホテルレストランで食事をしてから取ってあった部屋に来た。



ホテルの上層階からの眺めはとても素敵。





岩「ホントだ。こんなにも灯りがあるんだから夜でも東京は明るいはずだよな。」



莉子「がんちゃん、さっきはご馳走さまでした。」



岩「肉、美味かったよなー!また一緒に食べに行こう。」



莉子「うん。」



岩「そういえば、最近よくお兄さんをカフェで見かけるけどまた人手不足とか?(笑)」



莉子「ううん。違うの。」



岩「そっか、たまたまか。莉子は兄妹仲いいよな~」



莉子「…っ」



岩「莉子?」



莉子「はっ…はぁっ、…っ…」



莉子はその場にしゃがみこんだ



岩「莉子?!どうした?」



莉子「鞄に…っ…薬が…っ…はぁっ…はぁっ…」



岩「あの鞄?!開けるからな!」



莉子「はぁ…っ…はぁ…っ…」



岩「薬ケースのこれか?!」



莉子はゆっくり頷く



岩「俺の持ってきた水しかないけど、飲めるか??」



莉子は震える指でがんちゃんの手から薬を取るとグッと飲んだ。



岩「とりあえず向こうに行こう。」



がんちゃんはスッと莉子をお姫様抱っこで抱えるとベッドに移動させた。



莉子「あ、ありがとう…」



岩「少し落ち着いた?顔色、さっきより少しよくなったみたいだけど…どうする、救急車呼ぶ?」



莉子「救急車なんてダメ…。もう大丈夫だから。」



岩「本当?…俺に気遣ってそう言ってない?」



莉子「薬飲んで落ち着いてきたから、本当に大丈夫。」



岩「それならいいけど、、、。あぁ焦ったぁ…。」



莉子「ごめんなさい。」



岩「莉子、本当は今日体調悪かった?俺が急に会いに行ったから無理させちゃったんだよな。」



莉子「違うよ。今日というか…私ね、実は今通院してるの。」



がんちゃんに病気のことを全部話した。


お母さんと同じ病気だということ。


治らないかもしれないということ。


でも私は病気に向き合って頑張っていくことに決めたということも。



岩「…話してくれてありがとう。俺にできることある?あるなら全部言って欲しい。」



莉子「傍にいて…。そして、私がくじけそうになったら頑張れって言って欲しいな。」



岩「そんなの当たり前だろ、俺はずっと莉子の傍にいる。」



莉子「ありがとう。私、がんちゃんに出会えて良かった。」



治療が辛くて心が負けそうになる時があるけれど、


私が幸せを感じるのは


この瞬間がかけがえのないものだから。


私が生きたいと思うのは


ずっとがんちゃんと居たいから。


ずっと、ずっとがんちゃんの笑顔を一番傍で見ていたいって思うのは


愛しているから。


この気持ち、大切にしていたい。


消えてしまわないように---。