神父「帰っていった王子殿が国に魔物が増えていると言っていましたよ。約50年前のあの頃に戻りつつあると。このままでは歴史は繰り返されるのかもしれません。」



街の宿に帰ってきてから、神父が最後に言ったことが頭から離れない。



私の運命を本当は前から分かっていたの。



でもどこか不安で怖くて。



お母さんから力を受け継いでからお城に閉じ込められていたわけじゃない。



出られたのに私は隠れていた。運命から逃げていたの。



でももう変わらなきゃ。



このまま弱い私でいたらダメ。



どうしてもタカノリを巻き込みたくない。




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翌日、ミサは朝早く宿を出た。



ミサ「ぁ…」



剛典「おはよう。1人で行く気?」





剛典「危険かもしれないんだろ?昨日、守るって言ったろ?」



ミサ「ありがとう、でもねタカノリを巻き込みたくないの…」



剛典「じゃぁ俺が勝手についていくってことで(笑)ちなみに俺、心配されるほど弱くないつもりだから大丈夫!(笑)」



ミサ「タカノリ…。」



剛典「で、どこ行くの?」



ミサ「水神さまに会いにいこうと思うの。」



ミサとタカノリは昨夜月が綺麗に見えていた海の近くの丘へ来た。



穏やかな波の音と眩しい太陽が煌めく。



ミサは目を閉じて手を握り合わせた。



ミサ(…お母さん、私、もう逃げないよ。)



それから、海に向かって歌い始めた。



古い言葉の、お母さんが教えてくれた歌を。



ミサが歌い終わると突然大きすぎるほどの波がミサとタカノリを覆った。