ミサ「美味し~っ!」
剛典「すごい勢いだな(笑)ミサかなりお腹すいてた?」
ミサ「お昼食べそこねちゃってたからね~(笑)」
剛典「なんで?俺いない間、何してた?」
ミサ「ん~と、それは…」
ミサと剛典が座っているテーブルの横に1人の男が立ち止まった。
ミサ「っ!!」
男「お食事中失礼致します。」
剛典「店員…ではなさそうだけど。何ですか?」
男「外で神父がお待ちです。」
ミサはそっとナイフとフォークをテーブルに置いた。
ミサ「昼間のことなら謝ります…」
剛典「??」
男「お話は直接お願い致します。お食事が終わるまで外でお待ちします。」
ミサ「…はい。」
剛典「知り合いって感じじゃなさそうだけど。誰だアイツ?」
ミサ「教会の人よ。」
剛典「教会?今日行くって朝話してた?」
ミサ「そう。昼間ちょっとあってね。食事が終わったら私行くね。」
ミサのくもった表情にタカノリは心配になった。
剛典「…俺もいく。」
ミサ「でも…」
剛典「俺がいたら邪魔?」
ミサ「ううん、ありがとう。」
食事を済ませてお店の外へでると馬車が止まっていて、あの男が馬車の前に立っている。
馬車のドアが開かれると、中には神父が座っていた。
ミサ「お待たせしました。昼間のことは、」
神父「いえ、謝罪を求めに来たわけではないのです。あなたに見せるものがあるのです。一緒に来ていただけますか?」
ミサ「はい。」
剛典「俺もいいですか?」
ミサ「一緒に旅をしているんです。」
神父「構いませんよ。」
ミサと剛典は神父と共に教会の一室へ向かった。
神父「これはこの教会に長く語られてきたものです。」
そう言った神父は古い書物の一部を見せてくれた。
そこにはこう記されている。
~異国より訪れる破魔の巫女
その声を震わせ祈る時
神の力を得るであろう~
ミサ「…。」
剛典「破魔の巫女がミサだっていうことか?」
神父「そうです。魔法が使える女性は魔女と呼ばれますが、あなたは破壊を招く魔女ではない。むしろあの魔女を倒す…」
ミサ「それはっ!!」
ミサは思わず声を張り上げた。
剛典「ミサ?」
ミサ「私は、私は…」
震えるミサの目に涙がたまる。
神父「一度水神様とお話されるのがよいかと思います。」
剛典「水神様って会えるものか?」
神父「神はいつもあなたがたの傍におられますよ。」
ミサ「失礼します。…帰ろう、タカノリ。」
教会を出てスタスタと歩くミサの後ろを剛典は着いていく。
ミサ「…。」
剛典「…。」
海岸近くのひらいた丘からは満月が綺麗に夜の海の空に浮かんでいるのが見える。
月明かりの元、ミサが足を止めた。
ミサ「何も聞かないのね。」
剛典「ミサが話したくなさそうだから。」
ミサ「…。」
剛典「ミサとはまだ出会って少しだけど一緒に旅する仲間だと思ってる。俺はミサの味方だからな。だからピンチには何度だって助ける。一緒にいるから安心していいんだぞ。」
ミサ「ありがとう、タカノリ。」