莉子は到着ロビーまで走った。



莉子「はぁ…はぁ…はぁ…」



立ち止まって、見える人すべての中にいるか無我夢中で探す。



会いたくて会いたくて。



莉子「っ‼」



人間不思議なもので、たくさんの人の中にでも親しい人はこの人だって見つけられる。



帽子を被っていても、その横顔のライン、背中の感じとか鞄の持ち方とかに反応するから。



莉子「!!おかえり!」



莉子は少し大きめに声をかけて、息切れを落ち着かせるようにゆっくりがんちゃんの元へ近づいた。



岩「莉子!」



莉子「がんちゃん、おかえり。」



岩「ただいま。」




岩「嬉しいな、莉子が来てくれるなんて。驚いたよ。」



莉子「会いたくて。がんちゃんに早く会いたくって。」



岩「俺も会いたかった。」



がんちゃんの優しい笑顔を見たらブワッと涙が溢れてきた。



莉子「あっ…ごめん、なんで今涙なんか…」



誰かの前で泣くなんて何年もなかったのに…。



莉子は両手で顔を隠した。



岩「涙で目を閉じないで俺をみて。顔、見せて。」



二人共それ以上言葉は出なかったけれど、目と目があうとお互い微笑んだ。