ここは国王と魔法の残る世界。


私の名前はミサ。


街の市場でパン屋で働いている。





ミサ「代金ちょうどいただきます、ありがとうございました。」


お客「ありがとさん。」


そのお客の後ろにいた、初めて見かける彼がお客の肩をポンポンと叩いた。


彼「お忘れですよ。」


お客「え?何が…?」


彼「内ポケットに入れたパンの代金だよ。」


お客「っち!!バレてたか。」


ミサ「えっ!?」


彼「どーすんの?大声で警備兵呼ぼうか?」


お客「…ほら払うよ。これでいいだろ。」


ミサ「あ、はい。」


そのお客はお金を置いて早足で去っていった。


ミサ「ありがとうございました。」


彼「最近この辺りにも悪い奴増えてるから気をつけて。」


ミサ「はい。あのっ!これお礼に持っていって下さい。」


彼「いいよ、そんなつもりじゃ…」


ミサ「うちの一番の人気のパンなんですよ、是非。」


彼「そう言うなら。ありがとう。」



翌日、また彼が来ないかな…そう思いながら仕事を始めた。


休憩時間に市場を歩いていると彼を見つけた。


少し悩んだけれど思い切って声をかけてみた。


ミサ「こんにちは!」


彼「あ、昨日のパン屋。」


ミサ「昨日はありがとうございました。おかげで店長に怒られずにすみました。」


彼「良かったな。」


にこっと笑った顔はとてもかっこよくて胸がキュンとした。


ミサ「お店にまた来て下さいね。あ、でも今日はもうあの人気のパンは売り切れちゃってますけど(笑)」


彼「本当に人気なんだな。」


ミサ「はい!あっ、時間なくなっちゃう。それじゃぁまた。」


彼「…これから昼ご飯?」


ミサ「そうですけど…」


彼「じゃぁちょっと付き合ってよ。」


ミサ「えっ??」