出勤途中、スマホが震えた。


岩田《おはよう。久しぶり。
   今日仕事?
   夜予定空いてたら時間欲しいんだけど…》


がんちゃんから連絡が来た。


待ってた。


この日を待ってた。


あれ…?待ちわびていたはずなのに、


怖い。


がんちゃんは会って何を話そうとしてるの…?



連絡を取らなかった間がんちゃんの心が全く分からなかったから


今どんな顔してLINEしてるのかも想像がつかない。


前は声を聴かなくてもあんなにがんちゃんの表情が見えているようだったのに…



離れていた日々が作った私たちの距離は


思っていた以上に遠いものになっているのかな…。



返信を打つ私の心の中も手も震えている。



美咲《おはよう。久しぶりだね。
   今夜空いてるから大丈夫だよ。
   仕事終わったら電話するね。》



平静を装ったメッセージはすぐに既読になった。


そしてまたスマホが震えた。


岩田《ありがとう。連絡待ってる。》



がんちゃんらしい飾らないそっけない言葉が今日だけは寂しく感じた。

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プルルルルル…


プルルルルル…


美咲《あっ、もしもし?》



岩田《仕事お疲れ様。もう会社出た?》



久しぶりにがんちゃんに名前を呼ばれた。



美咲《今から会社でるところだよ。》



岩田《確か近くにカフェあったよな?
   タクシー捕まえて行くからそこで待ってて。》



美咲《うん分かった。》