監督「本番いこうか。」
岩田「はいっ!」
スタッフ「監督。次のキスシーンの時は、こっちからのアングルのままで良いですか?」
監督「そうだね、それで。」
スタッフ「分かりました。」
監督「では、…スタート!!」
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健(岩田)「子供の頃からずっと一緒にいて、いつも何も言わなくても綾子は分かってくれてるって思ってた。
でも、今はっきり言うよ。」
綾子(マリエ)「えっ?」
健(岩田)「俺は綾子が好きだ!
君じゃないとダメなんだ。
いつも隣にいるのは綾子じゃなきゃ。」
綾子(マリエ)「健…。」
健(岩田)「だから…これからも、ずっと一緒にいてくれないか?」
綾子(マリエ)「…もちろん。」
健(岩田)が綾子(マリエ)を引き寄せて、見つめ合い、キスをした。
****************
監督「はいオッケー!」
スタッフ「確認お願いしまーす!」
マリエ「監督どうでしょうか?」
監督「……。
うん!バッチリだよ!」
岩「ありがとうございます。」
マリエ「でも私ちょっと緊張しすぎちゃいましたぁ(笑)」
監督「その緊張が出ていてより良いシーンが撮れたよ!」
マリエ「ありがとうございますぅ。
岩田さんは本当にカッコイイからお芝居だと分かっていてもドキドキしちゃいます♡」
スタッフ「そうそう!男の僕もカメラ回しててなんだかドキドキしちゃいましたよ(笑)」
岩「いやいやいや、そんなそんな。」
マリエ「本当ですよ?♡」
監督「じゃぁ次のシーンいこうか。」
マリエ「はい♡」
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数日後の夜。
美咲「あ、ドラマ始まる時間!」
私は部屋で急いでテレビをつけるとソファに座った。
ドラマの後半、がんちゃんがマリエさんとキスをする場面が映った…
美「……っ。」
俳優岩田剛典が役者としてキスしているだけ。
役の健が相手を好きなの。
俳優岩田剛典は、がんちゃんは、演じている。
これはがんちゃんのお仕事。
そう分かっているのに心がズキッとした。
目の前でがんちゃんがキスしてる姿を見て、胸が痛くなった。
ドラマが終わると同時にテレビを消して、私はベッドへ伏せた。
美「がんちゃんの気持ちはないよね…
あれは、健のキスだもんね。」
モヤモヤッとしたこの気持ちは朝まではれることはなかった。