美咲《…えっ?大丈夫?
   ‎ごめんね、今ちょっとバタバタしてるけど、仕事終わってからマンション行くから待っててね。》



いきなりの電話に驚きながらも、素早く仕事を片付けて私は家へと向かった。



向かう先は、岩ちゃんのマンション。


風邪を引いてしまったらしい。







ピンポーン…


マンション入り口で部屋番号を押す。




美咲「着いたよ。大丈夫?」



岩「うん、何とか…。上がってきて。」




コンコンッ




岩「……」



ガチャ



美咲「お邪魔しまーす。」




岩「わざわざごめんな…」




美咲「大丈夫?風邪引いたって言ってたけど熱は?」




岩「薬飲んだら下がった。」




美咲「じゃぁ今のうちに何か食べておかないとね。キッチン借りるよ?」




岩「うん…」



美咲「がんちゃんはゆっくりしてて。
   ‎できたら呼ぶから。」



がんちゃんはコクリとうなずいて、ソファに座った。




美咲「えっと…これでよし、そろそろかな。」



岩「いい匂いがする〜」




美咲「おじやできたよ、食べれる?」



岩「うん、食べる。」




美咲「はい、どうぞ。口に合うかなぁ?」




岩「あ!食べさせて?♡」



がんちゃんはパカッと口を開ける



美咲「今は熱はないんだから自分で食べれるでしょ〜(笑)」



岩「え〜っ、美咲冷たい〜!
  俺病人なのに〜」



美咲「それだけ喋れるなら大丈夫!
   はい、食べて食べて。」



岩「ほーい。いただきまーす。
  んっ!うんま!!」




美咲「良かった、おかわりもあるよ。」




岩「ありがとう、美咲。」




美咲「イオン飲料やパンもテキトーに買ってきたからね。」




岩「色々ありがとう、美咲は気がきくし、料理できるしさすがだなー。」



美咲「そんなことないよ、逆に自分だったらどうしてもらいたいかな…って考えただけだよ?」




岩「その考えがなかなかできない人間もたくさんいるんだよ、今は。」




美咲「確かに…。」




岩「ごちそうさまっ!
  うん、これ食べたからすぐ治る気がする!」



美咲「今日はよく寝てね。
   寝るのが一番だから。」



岩「うん。」



美咲「じゃぁ、これ片付けたら私帰るね。」




岩「えっ?!もう?」




美咲「だってがんちゃんにゆっくり休んで早く治して欲しいもん。」



岩「せっかく久々に会えたのにな〜…。
  もうしばらくしたら今の撮影とか一段落して休みもらう予定になってるから、どこか行こうか。」




美咲「うん!楽しみにしてるね!」




岩「よしっ!そのためにも早く治して仕事やりまくるぞー!」


思っていたよりも元気ながんちゃんを見て安心した。



それから私は片付けを終えて帰る準備をした。



美咲「じゃぁ…またね。」



岩「今日はありがとうな。」



美咲「うん…。それじゃぁ、おやすみ。」



岩「おやすみ。…あ、待って美咲。」



美咲「ん?」



がんちゃんは私をギュッと抱きしめた。



岩「移すといけないから今日はこうしかできないけど…」



美咲「がんちゃん…」




岩「また連絡する。」




美咲「うん…。それじゃぁおやすみ!」



私は精一杯の笑顔でおやすみの挨拶をしてがんちゃんのマンションを後にした。





本当はもっと一緒にいたかった。



抱きしめてくれたがんちゃんの温もりがまだ腕や背中に残っている…。



また会える。すぐに会える。よね。



だから今の寂しい気持ちはそっとしまっておこう。



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この話より、◆から美咲へ名前表示を変えました。