田中邦衛氏主演のは笑いの多いものしか見てこなかったです

お庭番がタイトルについてる今作は当然ハッピーエンドではありませんが…一般人の2人が主人公を追っかけるあたり完全なバッドエンドではなさそうでしたがその通り
完全なバッドエンドでないところは田中邦衛作品の特徴なんでしょうか
同じ俳優座出身の仲代氏主演の作品は救いようのない結末のが比較的多いですが…

その仲代氏主催無名塾の隆大介氏がナレーション

コメディだけでなく哀しみも似合う顔ですね


北の国からでもあの音楽が登場人物の中で1番似合う顔のように思います



内容&感想(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

舞台は岡崎藩のある愛知県
こうやって感想書くときに調べないと江戸だと思い込んでしまいます
登場人物たちも、何回も観ないと誰が誰なのか…

全国各藩に配備される、先祖代々その藩に住みつくお庭番、"草"

岡崎城下に潜む"草"から岡崎藩が城の拡張工事をしたりあやしげな動きをしているとの報告、江戸から4人のお庭番たちが派遣
臨戦態勢半端ない岡崎藩はすぐに公儀隠密の侵入を察知、3人をことごとく始末
1人生き残った花沢徳衛演ずる歳のいった渡り職人に扮する甚八とっつぁんが岡崎城に侵入し負傷ーー拡張工事の証拠である城の絵図面と思った紙はフェイク、小茶屋の亭主を装う"草"・捨吉に後を託し、お庭番として死場所を求め去るーーー

その行動はお庭番らしさを裏切りませんが、そのとっつぁんを止める捨吉の行動はお庭番らしかりません

甚八とっつぁんは仕事仲間たちに溶け込み和気藹々としてましたが
それは周りの目を欺くためにそうしていたのか、自然と人々に囲まれる人柄だったのかーーー
捨吉にも同じく、何ともなく近づく人々、芸者鯉千代とそのケツを追っかける蛸六が

翌朝顔が判別出来ない状態で発見された甚八とっつぁんと思われる遺体を見に行った捨吉は、岡っ引きどものにすでに目をつけられてます
よくある城内に潜入している公儀隠密ではなく城下に紛れ込んでいるのを見つけられてしまうというのも、岡っ引きどもまで隠密を探り出す捜査能力があるのも怖すぎる(゚o゚;;

そんな中で捨吉は絵図面の奪取に成功
即座に指名手配、鉄砲傷を負って鯉千代に匿われていたところ、鯉千代が人相描きを見てすぐに家に戻ったときには旅立ったあと


時代劇史上、1番似ている人相描き
というかとくに似てると思う人相描きってないんですよね
国宝級の顔面と思います

鯉千代に「不破数馬」という本名を打ち明ける置き手紙を残します……そのせいでその気にさせてしまったのか…数馬を追っかける、人相描きを出した岡崎藩家老で芸者鯉千代の常連らしい三原帯刀一行をの後を追っかけます。それを蛸六が追っかけます

一方江戸からは5歳のとき以来父と別れ育った数馬の息子桂馬が派遣されるーーー

いやこの息子が遠藤憲一氏
言われてみれば面影ありますが……あの特徴のある顔つき、ここでは少年から青年に成った美しい父子の息子がよく似合う感じなんですがーーー
今は特徴が強くなりすぎてしまった感じ……?



家老らを尾けて来て宿に入ったことを有能な目明し2人に確認されている鯉千代と蛸六
岡崎藩集団にたかが岡っ引きが着いて来てるということは2人をマークするためでしょうか…?ということは出発の時点からマークされていた?有能すぎる岡っ引き…
でも2人の大ピンチに間一髪どこにいたのか現れた数馬を追っかけたばかりに殺されます

そこは逃げ通すも行動範囲は絞れる江戸の旅道中
2人は再び危険な目に遭いますが無事に済むところはまあ都合のいい感じ…
捨吉も一度は捕まってボッコボコにされますが抜け出し、その際息子と再会
攫われた鯉千代を奪還した際に今回の悪役家老を殺害

ここでどうせ殺すんならさっきの宿でヤっとけばよかったんじゃ…



この2人男くさくて好き(〃ω〃)
土屋嘉男氏、なんか悪役の間抜けっぽさが無いというか、なんかかっこいい
声もいいよね

部下「では…夜が開け次第山狩りを…」
家老「た
け!!
直ちに山狩りじゃ!!」

そりゃそうじゃ!!
こういうところがコメディ要素

無事敵をやっつけたわけですが、だからめでたしとは成らず

江戸城では不穏な動きがあると探りを入れたのに逆に岡崎藩主を老中にしてしまおうということになっていた
この時点では数馬の帰参は許さんということだけがお庭番の頭・綿引勝彦氏演ずる服部善蔵に告げられる

図面を持ち先に善蔵に再会した桂馬は、渡した図面を雨に濡らされ破り捨てられ、岡崎藩主老中取り立ての旨を知らされる

そこでもお前は江戸に帰れとだけ告げられ、頭はどうするのかとの問いに「数馬を迎える」とだけしか伝えられずーーー

晴れ晴れと江戸への道中を進んでいた数馬一行をまず迎えたのは、家老の手下の残党ども
数が減ったからか全員倒し、最後に残ったリーダー的なのと一騎討ち!!

「貴様とは一対一の勝負がしたかった」


なら最初っから1人で来いやッ!!

それも無事倒し、いやもう1人……と離れた場所に立っていたのは、迎えに来た善蔵
その存在に気づくはずのない2人が見事全て敵を倒した数馬の元に駆け寄って来たのを数馬は制しなかったということは、その存在から殺気を感じなかったからなのか…
お頭!と笑顔を浮かべる数馬に沈黙の末「抜け」とだけ
わけを訊かれて岡崎藩主が家老になるにあたって藩わ騒がせた数馬は死なないといけなくなったことを朴訥に告げる

不吉を察したらしい桂馬が江戸に戻らず2人が抜く直前に駆けつけて来る

善蔵が公儀の決断を告げたとき「所詮お前もお役目大事ってことか」みたいな顔をしていた数馬ですが、死闘の末善蔵を斬ると、すぐに1人で死なせはしないと刃を自分の腹に向ける
そこで2人の刀は止められなかった桂馬がその刃こそは抑え
生きろとだけ言い残した善蔵の言葉が、その刃を止めるーーー

善蔵殺した!と思ったら刀を自分に刺す!と思ったら息子が止める!!という無駄のない進み方が良いと思います

最初に見たときは善蔵は最初からこのつもりだったのかなと思ったけど、そう取れる言葉は残していないから、幕府の思惑通りにするつもりだったのかもしれない……桂馬の行く末の為でもあったのか……

桂馬は偽の首の顔を潰し、江戸城で献上し、褒美をもらいますが、それなら誰も死なず、そこにゴロゴロ転がってる死体の首でもよかったんじゃ…

ついこの間亡くなった綿引勝彦氏なだけに、これはやばい……( ;  ; )


ちなみにこの作品の年、38歳( ゚д゚)
邦衛さんの10いくつ年した…


数馬親子の悲しみの大きさは鯉千代と蛸六は知らないことで、その後建てられた数馬と善蔵の墓に手を合わせ捨吉に戻れる数馬を待っていた2人ですが、戻って来たのは桂馬1人と数馬の手紙

その手紙で数馬がお頭と呼んだ善蔵は数馬の「無二の友」と書かれ、ただの仕事上の関係だけではなかったことが明かされる( ;  ; )

息子には父を許すな
自分を慕う女には許して欲しいと書き
数馬は死んだわけだから息子のところには父としては戻らない
捨吉としていつの日か鯉千代と蛸六の元に帰る
2人のところに帰ると言うなら、どんなに時間が経ったって、せいぜい数年ですよ、絶対帰って来るんです!(;_;)

つまりは2人は岡崎に帰るということでしょうか
数馬とのことでマークされてたのに大丈夫なんだろうか…


しかし綿引さんも土屋さんも邦衛さんもいい声です

最後の手紙のところの声とかとくに良さが際立つ感じ

また顔の売れる俳優が主役なのと違い脇役がとにかく引き立つ俳優さんですよね
顔も存在も国宝級


そして悪役のオッさんたちに目覚めそうです