この12月から、始まりました!
もう終わってしまったかと思ってましたが、またやってくれた……!( ;  ; )


中村梅之介さんに始まるテレ朝シリーズの4作品めですが、先の三作の雰囲気を一気に変えたシリーズだと思えます。


まずルックスーー単に背が高く顔がいいだけでなく、人一倍時代劇の扮装が映える人だと思うんです。
遊び人のときと奉行とのときとで髪型が変わりますが、もともと顔立ちがはっきりして整った俳優さんは髪型が変わると、髪型が変わったことによる顔の印象の違いもはっきり表れやすいですが、

杉さまは金さんの姿と左衛門尉の姿とで見た目の印象が凄く違う上に、それぞれがめちゃくちゃ似合っていてかっかいい。



いや表情の違いも大きいですが……杉さまは演技ではとにかく表情が豊かです。
笑うときは思いっきり、悪党の巣に潜入するときに芝居を打つときはもっと大げさに笑ったり、容疑者に詰め寄るときの片眉を上げた挑発的な表情…
人より大きく表情を動かすところまで心を入れるところは正直さと真面目さの表れですわね。
人って日ごろしている表情がすごく顔の造形に関わるんですが(ボケッとしていて口が常に半開きの人は口周りや顔全体がだらしなかったり)、たぶん日ごろの大げさな表情の演技によって鍛えられたお顔立ちが、ものすごく時代劇の扮装もかっこよくしたんだと思います(※あくまで個人的な見解です)。
幾人も金さんを演じた俳優さんの中では芝居自体がもっと上手い方はいらっしゃると思いますが、この点は杉さまにしか無い点だと思いますね。


またこの杉さま版の特徴は、刀をバットみたいに持って相手をぶっ叩いたり、素手のときも着物がはだけまくる喧嘩のような感じな、派手な戦いっぷり。
それと、第一話から金さんが奉行所で痛めつけられたり子供の代わりに殴られたりして身体の張ったり、悪心と良心の狭間にいる登場人物にじりじり詰め寄っていくシリアスな場面など、ストーリーもそれまでのシリーズとは毛色が違う部分が多い。
すでに杉さまが脚本を書かれていたんでしょうかーーと思うくらい杉さまの意見が組み込まれているように見える。
この少し後の杉さま主演の新五捕物帳は、杉さま自身が脚本を書かれているらしいんですが、金さんもの身体の張り方や暗い話は新五捕物帳を思わせる。

杉さまの書かれる脚本には、杉さまが長年されている刑務所訪問はじめ、福祉活動の影響が明らかに出ております。
杉さまの著書を読むと、作中に出て来る罪人たちのような犯罪者を実際に見ていて、また接して来た、ということが相当あるんだろうと思われるんですね。
罪を犯した人に叫ぶ台詞なんかも、実際に刑務所に入った人に言ったことがあるんじゃないかとーーー

ということは、杉さまの演じている役は演技でないところがあると言えるんではないでしょうかーー役への入り込み方が凄いという名優さんは幾らかいらっしゃいますが、杉さまは入り込み方以前に、過去にあったことをドラマで再現しているとーーー

杉さま版金さんの制作において杉さまの意見が入っているかはわかりませんが、入っているとしたら、マンネリ化を理由にTV時代劇を離れただけのことはありますねーーーというくらい異彩を放つシリーズ。
キャリアから言っても梅之介さんの芝居が一番上手いかもしれませんが、ハマる人をのめりこませる金さんでは一番だと思いますな。
わたしがそうです。

少なくとも杉さまは金さんのオファーが来たとき、桜吹雪も描くから、「じゃあスタジオに風呂作ってくれ」と言って風呂は作ってもらったそうですが(著書より)。

そんな杉良版遠山の金さんの感想を週ごとにまとめて書いていきたいと思います。