うつ状態の父
僕の父は、某大手総合商社に長年勤めていた。
海外駐在も経験した。
傍から見たら、いわゆるエリートコースだ。
帰国後、早期定年制度を利用し、退職。
ベンチャー企業に転職するも、オーナーとぶつかり、解雇された。
以来、今日までの2年間、いわゆる「うつ状態」に入った。
長年のサラリーマン生活で疲れたのだろうか。
不当解雇され、人間不信に陥ったのだろうか。
今、父は仕事もせず、昼間はどこかへ外出し、
夕方戻ってきては部屋にこもる。
家では、自分からはほとんど言葉を発しない。
そして僕は、そんな状態の父に嫌気が差し、心の中で父を責めた。
なんで仕事に就かないんだ。
もっと夫婦で会話して欲しい。
もっと子供と会話して欲しい。
なんで、何もしようとしないんだ。
いつまで、無気力でいるつもりなんだ。
でも最近、父は「病気」なのではないか、と思えるようになってきた。
「うつ状態」を超えた「うつ病」という病の病気。
現代のビジネスマンの多くが、ストレスフルな社会で直面する病気だ。
だとすると、父は「病人」である。
「病人」を責めることはできない。
病人には、優しい気持ちで触れ合っていかなければならない。
まず、周囲にいる人間の「愛」が必要だ。
病人を責めても何の解決にもならない。
この考え方の転換がまずできるかどうかだ。
父を救えるかどうかは、自分にかかっている気がする。
もちろん、救いたいと思っている自分もいる。
これから、父との歩みが始まる。
もちろん、僕から歩みだす。