みなさん、こんばんは。
素人俳人玉龍院ヒロキこと山城道霞です。
地元では先週「-1℃」になる日が出てきました。
朝の7時頃に家出て会社に向かいますから毎日寒いです。
自動販売機でコーンポタージュや温かいゆずレモン、ぜんざいなど飲む機会が増えました。先日勤務中に知りましたが、来週の月曜日から雪が降り始める可能性があるようです。
そんな折、歳時記や『季寄せ』を読んでみると、悩んでしまった冬の季語を見つけました。
「何でこんなもんが冬の季語として載ってるのよ・・・」と。
その季語は、雪女。
(画像元はこちらより引用)
「妖怪じゃん」と思われますが、実は立派な冬の季語なんです。
悩んでしまったのは、この季語は架空の存在を季語にしているからです。
季語のほとんどは可視化できるものばかりです。
冬の季語となれば「マスク」「ストーブ」「雪祭」「冬銀河」などです。
可視化できるというのは俳句においては「映像化ができる」ということです。
季語が「マスク」であれば、誰の頭でも「マスク」を想像すること、思い浮かべることが出来ます。
しかし、肌や心で感じ取る時候の季語(春の風、炎天、秋の暮、寒しなど)は目で感じ取ることが出来ないので映像化できない季語なんです。
「では雪女は?」と聞かれますと、季語は以下の7つに分類できます。
①肌や心で感じ取る時候の季語
②気候による天文の季語
③地形や自然界でできたものによる地理の季語
④日々の日用品や食材による生活の季語
⑤祭りや伝統行事による行事の季語
⑥鳥や魚、昆虫などによる動物の季語
⑦公園や花屋さんなどで見かける植物の季語
「雪女」は天文の季語なのです。
なんとなく察することが出来た人がいると思いますが、「見ることが出来ない妖怪を、季語にするかね・・・」と僕は思い悩みます。
俳句の世界では、明らかに可視化できない妖怪や怪異、神様を季語として扱われています。
映像化できず、時候の季語ではない季語をどう扱えばいいのか・・・。
また季語1つ1つには傍題があります。主な季語からニュアンスが若干違う枝分かれした季語とイメージ出来れば大丈夫だと思います。
例えば、冬の季語である「雪」。傍題はたくさんあります。
「雪の花」「雪空」「新雪」「粉雪」「深雪」「今朝の雪」「雪国」「冠雪」・・・。
これらは「雪」の季語の傍題のほんの一部です。素敵な季語ばかりですね。
ニュアンスが若干違うため、自分が伝えたい俳句として季語選びは重要なのです。
季語選びを間違ってしまうと、自分が伝えたい俳句とは真逆の俳句ができてしまいます。
「明るい俳句詠みたかったのに、季語選びに失敗して暗い俳句になってしまった」という人が必ず出てきます。
では「雪女」の場合はと言いますと・・・。
「雪女郎」、「雪鬼」、「雪坊主」、「雪の精」、「雪男」
「オフェエ・・・」と呟きました。
明らかに、UMAだと言わざるを得ない言葉が混じっていますが、これらは全部冬の季語です。
これらは、明らかに、神秘的な体験をした人のみにしか持ってこない季語ですね・・・。
そうなると「月刊ムー」を想像してしまいます。「雪女は宇宙人だった‼」という見出しを思い浮かべますね。
しかしながらこの難しい季語に挑んでいる人がいます。
「プレバト‼」で現・名人初段のミッツ・マングローブさんの
「打たせ湯の肩 夜をしのぶ 雪女郎」
お題は「スーパー銭湯」。
季語「雪女郎」は雪女のこと。疲労した雪女が孤独に打たせ湯をかける光景を俳句にしたもので、「夜を偲ぶ」と「夜を忍ぶ」を掛けた名句です。
本来、見ることすら出来ない雪女郎ですが、「打たせ湯」から始めることで俳句の舞台設定ができます。「打たせ湯」があるのは温泉がある場所だけですからね。温泉関係の語句を比喩で表現するよりも、ストレートに表現することで状況のリアリティー感が増します。
そうなると雪女郎が肉体化されているようにみえませんか?。
(画像元はこちらより引用)
ちなみに僕が気に入っているのは「雪鬼」。
鬼の姿と化した雪の精のことです。
今年話題の大ヒット映画「鬼滅の刃 無限列車編」が放映されたことで、「鬼」という言葉に親近感が増した人がいらっしゃるのではないでしょうか?僕もその1人です。
まさか僕に都合がいいと言いますか、「あったらええな」という季語が歳時記に季語として載っているのです。この季語を知ることが出来たのは「雪女」という季語のおかげでありますし、時期的に何かの縁を感じると思いましたので3句詠んでみました。
ショベルカー来たる集落を雪鬼 山城道霞
曇天や子の指すものは雪鬼か 山城道霞
追憶や雪鬼の森の慟哭 山城道霞
ちなみに「雪女」に関連し、今年の夏に東国原英夫さんの「幽霊の俳句」について語ったことがありますのでこちらも見てほしいです。(→こちら)
そしてさらにちなみに、何で今回のブログ記事にしようかと言いますと、きっかけは夏井いつき先生による「俳句ポスト365」の次回のお題に頭を抱え込んでしまったからです。
次回のお題は「狐火」。
狐火。
それは、冬の夜に野原や畦道、墓場などで火が点々に見えたり隠れたりする現象。
俗説では、狐が口から火を出すと言われ、冬の季語であります。
「何じゃこりゃあっっっ」
狐火という怪奇現象みたいな、妖怪みたいなもんをお題にですか・・・。
「夏井先生は、なんか意地悪な人やなぁ」と呟く冬の夜です。
でも挑まなくては・・・。
日日是好日
今このときを大切に。