11月2日3日、人生3回目の有馬大茶会に参加しました。
ただ今回は「茶道の道を歩む者」としては初めての参加です。
自然と心が引き締まりますよね。
今回からスーツ姿で参加。
男性ですと袴姿が基本ですが、なにぶん貧乏なので袴姿はもう少し先のようです。
一体いくらするんでしょうね?
あと、うまく着付けることができるかなぁ?
有馬大茶会の特徴は茶道の表千家、裏千家が交替で茶会を催すことです。
2017年度は裏千家、2018年度は表千家でした。
藤色の会記。
令和時代初めての有馬大茶会にして、今年で70回目の有馬大茶会でもあります。
まさに記念すべき有馬大茶会なのです。
藤色って、なんか素敵な色ですね。
2日早朝。
朝6時に起床しました。というのも、有馬大茶会初日に行われる「献茶式」を見に行くためです。献茶式は昭和25年(1950年)有馬温泉の再興に努めた豊臣秀吉を偲ぶために始まりました。
秀吉は大の有馬温泉好きで、有馬温泉を自分も領土にしてしまうほどです。
さらに秀吉専用の湯治施設を設けたり、宿泊地として多くの寺院を建立します。
有馬温泉には「○○の坊」という宿屋さんがたくさんありますが、それは秀吉によって誕生した宿泊地の名残りなのです。
大阪に用事がありましたので、この日参加した茶席は有馬グランドホテルにある雅中庵のみ。雅中庵の席は大広間(65人くらい入れます)でお茶を頂けるのですが、大変人気な席で、うっかりすれば2,3席先まで埋まってしまうのが当たり前。さらに三席ある茶席の中で一番遠い場所。有馬大茶会専用のバスはありますが、しっかりした計画が必要です。
雅中庵の席の特徴は、茶室に向かうまでの庭が大変手入れされていることです。
お庭を眺めながら茶室に向かうのは大変面白いこと。この写真もその一部。
大広間に案内されると、隣の奥様2人が声をかけてくださいました。
やはり、茶道を習う20代男性は大変珍しいようです。僕が参加した席では、男性は僕も含め3,4人。僕はそのなかで最年少です。3回目の参加とか、茶道の美術の話で盛り上がりました。そして正客はなんと島根県からお越しになられた女性の方。
有馬大茶会は、僕が思っている以上に特別な全国規模の茶会ようです。
善福寺
有馬温泉のほぼ中心で、献茶式が始まる場所です。
今年は裏千家家元名代で伊住宗陽さんがご奉仕されました。
昨年に大徳寺管長・高田明甫老子から「碧流斎宗陽」という斎号安名を拝受されました。
約1時間の献茶式。
秀吉を偲ぶために読経し、宗陽さんがお茶を点てます。
神戸市の教育委員会や有馬温泉の観光課などの来賓客が参加されていました。
この献茶式は80名限定のもので、朝8時から整理券が配られます。
僕はその10分前に善福寺に着きましたが、すでに40名以上が並んでいました。
実は今まで参加した有馬大茶会の献茶式は平日に行われていました。通常勤務でしたので無理でした。それが令和時代最初の年に、70年目の献茶式を見ることができました。なんだかんだで不思議な縁を感じます。
前列中央の男性が伊住宗陽さん。
3日。
この日は茶道の先生とお姉さま方と一緒に巡りました。
なお、ここから僕が愛してやまない楽茶碗を軽く紹介します。
まずは前日と同じく雅中庵の席。
前側の席に座ることができ、この日もお隣の奥様方とお話することができました。
また待合の席で甜茶の臼引きの体験ができました。
使われた楽茶碗は玄々斎自らが手掛けた赤楽茶碗で銘は「豹月烏」。
玄々斎とは江戸時代末期の茶道裏千家家元十一世の千宗室です。
念仏寺の席。
こちらは裏千家の阪神支部が茶席を務めています。
実は今回の念仏寺の席の席主さんは、僕が稽古している茶道教室を紹介してくださった方なんです。今まで電話での連絡のみでしたので、今回初めてお会いになることができました。挨拶ができて良かったです。
使われた楽茶碗は樂家十四代の樂覚入の赤楽茶碗で銘は「披雲」。
樂覚入は現当主樂家十六代当主の樂吉左衞門さんの祖父にあたります。
「披雲」は「雲が開ける」と意味しており、秋の空を連想させています。
最後は温泉寺の席。
ここは椅子に座ってお茶を頂く立礼席です。
お菓子は有馬温泉の名物炭酸せんべいですが、プレーンだけでなく特注で山椒味、紫いも味を用意してくださいました。
使われた楽茶碗は2つで、
樂家十三代の樂惺入の赤楽茶碗で銘は「寿色」。
樂家六代の樂左入の黒楽茶碗で銘は「奥山」。
今回は秋の紅葉を連想してか、赤系の楽茶碗が中心でした。
あれ?「奥山」は以前どこかで見たような・・・。今度調べてみます。
念仏寺と温泉寺の席は目と鼻の先ですので助かりました。
いつもは雅中庵、念仏寺、瑞宝寺公園ですが、なぜか今回は瑞宝寺公園の席はありませんでした。風のうわさでは、カメムシの大量発生が原因だそうです・・・。
お昼の点心席。
なお今回初の試みなのか、今までは有馬ロイヤルホテルで点心を頂いていましたが、今年は特別で、有馬温泉街のお店で様々なお料理を頂けるようになっています(1人1回のみ)。
今日は有馬の工房で点心弁当を頂きました。
家族へのお土産は有馬温泉の和菓子屋三ツ森さんのお饅頭。
手前から「有馬路」、「照紅葉」、「千成」、「紅一葉」。
「有馬路」は雅中庵の席、「照紅葉」は念仏寺の席でのお菓子です。
三回目の有馬大茶会は、これまでと違う空気に包まれた気がしました。
大学時代ではできなかった後悔を、社会人になってから、茶道の道を歩めた。
自分ができることは皆無に近いけれど、そこから生み出していくことは十分できます。
まだまだ知識不足や稽古不足です。
これから生涯をかけて茶道を勉強していきたいと思います。
ふいに、念仏寺での席主さんとの会話を思い出しました。
席主「どう?茶道は楽しいでしょ?」
すると僕はスッと言えました。
僕「はいっ!茶道を始めて、本当に良かったです‼」
どうやら僕と茶道の出会いは、必然であったと思います。
日日是好日
今このときを大切に。