ども、母親に愛されなかった佐藤です。
鬼か悪魔の子だなんて言われてましたからね、幼稚園の時に。
それから40年経って、今は会社員やってます。
その幼稚園の時からの夢だったねぶた師というものになれなかったから、
生きるために仕方なく会社に行ってるんですけどね。
で、その会社が創立何周年だかで。
４月の末、部長に呼ばれて。
「６月９日に会社の創立記念祝賀会あんだよ。で、お前ねぶた作れるだろ？記念パーティーの会場に飾りたいから小さいねぶた作ってくれよ。」
は？１か月で？無理だろと思いましたが
「はァ、わかりました。」と答えました。
ただでさえ作るのが遅く、さらに人からはうまいとかすごいとか言われたがりで、
それは幼少期母親から認められなかったコンプレックスがこじれにこじれてヘドロとなって全身にへばりついているためで
手を抜くということができない性格なのに１か月で、しかも日中普通に働きながら
仕事終わりと月に１０日の休日のみでミニねぶたを１台でかさなくてはならなくなり
無理だがやるしかないってことで
時間がないから下絵も描かずに制作に入りました。
横幅、高さともに１メートル程度、ねぶたのどこかに会社のロゴマーク入れろ、という条件で。
題材は桃太郎。
なんでかっつーと、会社のイメージキャラクターが桃太郎だからで。
１か月しかないんだから桃太郎の１人ねぶたにすりゃいいものを
人からうまいとかすごいとか人一倍言われたがりなもんだから、苦しくなるのわかってて鬼も作る事にしました。
母親曰く、鬼の子だからね。
で、骨組み
ここまでで１８日ほどかかりました。
かなりやばいので
睡眠時間は１日５時間にし、
食事は自炊しているのですが皿を洗う時間すらもったいないので
紙皿と紙コップと割りばしのみで食事を摂ることにしました。
どのみち鍋は洗わないとだめなのですが。
で、電気配線に3日かかりました。
今回すべてLEDにしました。
昭和のねぶたしか認めない私にとってはLEDなんてしゃらくせーと思っていたのですが、今回材料費は会社持ちなので割高なLEDも買えました。時代の流れにはかなわん。
おそらく竹から針金に変わった時も、針金なんてしゃらくせーとか言ってた人がいたのではないでしょうか。
でも彩色してみるまで、どんな発色になるかは心配。
で、紙貼り。ひたすら紙貼り。
ここまでで5月28日
さすがに5月中の完成は無理だろうということで、6月9日が祝賀会なら7日までに仕上げればいいべ、と部長を説得して、締め切りを6月7日とさせてもらいました。
で、書割り。
彩色がとにかく苦手な私にとって、書割りほど難しい工程はなく、
そりゃあの鹿内名人が人生の線だとおっしゃったくらい重みのある大切な工程なのに
こんなうすっぺらな線しか書けないのはそれだけうすっぺらい人生だからってことで納得。
いつもなら私は面は最後に描くのですが、今回の場合、最後はへとへとになっててそんな状態で面を描いても良いものにはならないだろうと予想したので、体力があるうちに描いちゃいました。
で、彩色して
将門様も応援してくれているようです。
今回、彩色はターナーのネオカラーをメインで使いました。
染料では褪色が早いと思い、ネオカラーの方が長持ちしそうな気がしたので。
ただ、ネオカラーだけだと電気をつけていない状態の時少し色が薄い気がしたので、染料とネオカラーを混ぜて彩色したのですがわりと良い感じだと思います。
あと、LEDで照らしても特に違和感を感じることも無く、さらに熱を発生しないのでロウも溶けないし、安全で良いと思いました。
さて本体はできましたが、高欄が残っています。
この時点で6月7日の午前2時。
午前10時に引き取りにくることになっているので、いつも通り最後は徹夜となりました。
で、高欄を仕上げて貼り付けて、完成したのはちょうど午前10時、と。
まるで2分30秒間さんざん苦戦しておきながら、最後はスペシウム光線で敵を倒して3分ちょうどで宇宙に帰っていくウルトラマンのようでした。
ろくに写真を撮る間もないくらい、完成と同時に引き渡しという、喜びに浸る間もない慌ただしさでした。
が、出来栄えはわりと良いかなと思っていて
鉢巻に描いてるのが会社のロゴマークです。
ＬＥＤだけどちゃんと赤が出ました。
めでたしめでたし。
休むまもなく「雨」を作らなくてはならず。