「たんぽぽ」車輪繕う地のたんぽゝに頬つけて今年没後30周年の寺山修司さん、十代の作です。当時の彼の手にかかると、どんなに地味な日常的景観でも、たちどころに素敵なシーンに変貌してしまう。掲句の場合だと、男が馬車か荷車の下にもぐり込んで、ちょっとした車輪の不具合を応急的に繕っているにすぎない。昔の田舎道では、たまに見かけることのあった光景だ(『増殖する俳句歳時記』)。