「夜色楼台図」 | motoの徒然なるままに…Ⅱ

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日々是好日日記
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日本経済新聞「美の美」で目が止まっております。

埋火や我かくれ家も雪の中(与謝蕪村)
 
画人蕪村の傑作、おそらく生涯最高の作品。国宝。大きな横長の画面〈縦27.3×横129.3センチ〉の上半分には、墨のむらむらに胡粉(ごふん)をまじえた夜空。雪をはらんで暗く垂れこめる空である。その闇のなかに夜目にも白く浮かぶのが、京の東山かと思われる連峰。降ったばかりの雪のやわらかさを感じさせて高く低く連なる稜線が美しい。家々に点じられた代赭(たいしゃ)は灯火を暗示し、雪に包まれた街並みに情感を生み出している…。

俗につきながら俗を超えた境地をどう生み出すのか、そこが俳諧の最も難しい点だと蕪村さんは言っております。俳諧の心を絵にした「夜色楼台図」は蕪村さんの絶頂期だったのです。

屋根ひくき宿うれしさよ冬籠(与謝蕪村)