寺山修司「人形たちの夜」年をとったら、人形と一緒に暮らしたいと思います。歌ったり、浴槽に入ったり、ホフマンの童話を読んだり、レスボスの果実をむさぼったり、ぼくの肩をもんでくれたりする、自動人形たち、沢山と。パリのサンジェルマン。リュニヴェルシテ通りにある小さな人形屋の店先で考えました。ぼくは人形となら、うまくやっていけそうだ。だが、ぼくと暮らす人形たちは、セルロイドや蝋細工では困る。キャロルの写真集に出てくるような、血のかよった人形がいいのだ、と。 『人形たちの夜』