

今日の日経新聞文化面「母と子、父と子」十選で紹介された作品です。いつもは、目を流していくはずなのに、親子三人ののどかな風景を描いた久隅守景(くすみもりかげ)さんの図に微笑んでおりました。作家の太田治子さんによると、この絵は画家自身の家族の姿と思えるが、妻ではなく娘がモデルなんだそうです。守景さんと狩野探幽さんのめい、国の間に生まれた娘、清原雪信さんだそうです。彼女は後年、同門の男と駆け落ち、弟も狩野派から破門。父親の守景さんも金沢へ下ったといいます。親子の幸せを回顧して描いた絵だと太田さんは言ってます。
夕顔棚納涼図屏風 (国宝、東京国立博物館蔵) 二曲一隻 紙本墨画淡彩。
木下長嘯子の和歌「夕顔の さける軒端の 下涼み 男はててれ(襦袢) 女はふたの物(腰巻)」に取材した作といわれる。一見地味な印象をうけ、「最も国宝らしく無い国宝」と云われることもあるが、親子3人の農民の姿を深い愛情をもって詩趣豊かに表現した名作である。
久隅守景は、師・探幽とは異なり、味わいある訥々な墨線が特徴で、耕作図などの農民の生活を描いた風俗画を数多く描いた。探幽以後の狩野派がその画風を絶対視し、次第に形式化・形骸化が進むなかで、守景は彼独自の画風を確立したことは高く評価される。彼の少し後の同じ狩野派の絵師で、やはり個性的な画風を発揮した英一蝶と並び評されることが多い。【Wikipedia】