「火宅の人」 | motoの徒然なるままに…Ⅱ

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日々是好日日記
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「三界は安きことなし。猶、火宅のごとし」(法華経)

『火宅の人』(かたくのひと)は、檀一雄の長編小説で遺作。『新潮』1955年11月号より20年にわたり断続的に連載され、1975年に新潮社で刊行(現在は新潮文庫 上下巻で2003年改版)。没後に第27回読売文学賞(小説部門)と、第8回日本文学大賞を受賞した。
1979年にテレビドラマ化、1986年に東映で映画化された。

「火宅」とは、仏教説話(正確には「法華経 譬喩品」より)の用語で、「燃え盛る家のように危うさと苦悩に包まれつつも、少しも気づかずに遊びにのめりこんでいる状態」を指す。

『私だけはこの焼けてゐる家の門から安穏に出る事が出来たけれども、子供らは燃えてゐる家の中で遊び戯れる事を楽しみ執着してゐて、悟らず、知らず、驚かず、怖れず、火が其の身に迫り、苦痛が自分に迫つて来てゐるのに、心に厭はしいとも思はず、家から出て行かうとする気持ちが無い』