「わだばゴッホになる」「わだばゴッホになる」 草野心平鍛冶屋の息子は相槌の火花を散らしながらわだばゴッホになる裁判所の給仕をやり貉(むじな)の仲間と徒党を組んでわだばゴッホになるとわめいたゴッホにならうとして上京した貧乏青年はしかしゴッホにはならずに世界のMunakataになった古稀の彼はつないだ和紙で鉢巻きをし板にすれすれ獨眼のそして近視の眼鏡をぎらつかせ彫る棟方志昴を彫りつける