「現金がなければ、葬儀すら開けなかった時代」 | motoの徒然なるままに…Ⅱ

motoの徒然なるままに…Ⅱ

日々是好日日記
2006年9月:gooブログでスタート
2025年9月:Amebaに移行しました


⬛️現金がなければ、葬儀すら開けなかった時代⬛️

体は半身不随ではあるものの、父の頭脳は現役時代と変わらずしっかりしていた。とにかく気持ちが前向きで、死去する直前までNHKラジオでイタリア語の基礎講座を勉強したり、英語の放送を聞いていたものだ。

2011年3月11日、東日本大震災が起きてから父の様子が急変した。介護施設のテレビで津波の生々しい映像を見て、相当なショックを受けたらしい。それまでもあまり話さなくなっていたのだが、震災後は、ずっと黙りこむようになった。そして震災後、しばらくして、とうとう父は亡くなった。

相続の七面倒くさい手続きの前に、何はともあれ通夜と葬儀を営まなければならない。親が死んだ瞬間、当人の預金口座は、即座に凍結される。通夜や葬儀代がかかるからといって、あの世に旅立ってしまった親の銀行口座から、勝手にキャッシュを引き出すことはできないのだ。

民法が改正されたおかげで、2019年7月から葬儀費用を親の銀行口座から引き出せるようになった。私の父が亡くなった当時は、その費用すら自分で準備しなければならなかった。とりあえず手持ちのキャッシュがなければ、葬儀すらまともに開けなかったのだ。