『青森挽歌』 | motoの徒然なるままに…Ⅱ

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日々是好日日記
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『青森挽歌』🍎

つめたい窓のガラスから 

あけがた近くの苹果(りんご)の匂いが

透明な紐になって流れてくる

それは表が軟玉と銀のモナド(粒子)

半月の吹いた瓦斯でいっぱいだから 

巻積雲(うろこ雲)のはらわた迄

月あかりは浸みわたり 

それはあやしい蛍光版になって

いよいよ匂いが発散し 

なめらかに硬い硝子さえ超えてくる。

 

1923年夏、賢治は教え子の就職先の世話をするために樺太に行く。仲の良かった妹・トシの夭折したことの心の整理がつかないままでの花巻農学校の生徒を引率した旅だった。その旅の心情をつづったのが『青森挽歌』・葬送の詩である📖