「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ」 | motoの徒然なるままに…Ⅱ

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日々是好日日記
2006年9月:gooブログでスタート
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この世をば  
我が世とぞ思ふ 
望月の欠けたることも  
なしと思へば🌕

「この世の中は、オレの世の中だと思う。今宵の満月に欠け目がないように、オレの人生には、少しも欠点がないのだから」

この歌は、娘三人が后の位について、磐石の権力を手中にした藤原道長が自宅で3日間にわたっておこなわれた盛大な祝宴で歌ったもので、まさに「我が世の春を謳歌した」道長の歌です。

ところが「我が世誰ぞ常ならむ」に例外はなく、道長はこの歌を詠んだ翌年に重い病気にかかります。糖尿病だったといわれていますが、そこから眼病にまで進行していきました。

死をおびえて、剃髪して仏門に入りますが、死の不安が募り、臨終には金色の仏像と、憔悴し切った自分の身体を五色の糸で縛って、周り中僧侶に取り囲ませ、読経させ、浄土往生を願ったといわれます。
「本当に仏様は浄土に導いてくれるのだろうか」
「死んだらどこへ行くんだろう。」
いよいよ臨終になったとき、たった一人ぼっちで孤独と不安に苛まされる道長の姿には幸せや満足はどこにも見当たりません。

このように諸行無常の世の中で支えにしていたものを失って迷い苦しむ人間の実態をいろは歌は上の二行で「色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ」と喝破するのです🍂