
「すごい葬式 笑いで死を乗り越える」 (小向敦子/朝日新書)
第一章は「怪しい葬式」という題。
その冒頭、江戸時代のとある奇抜な葬式が紹介される。「東海道四谷怪談」の作者、鶴谷南北が自身で仕込んだ本人の葬式である。菓子と台本が配られ、凝りに凝った仕掛けをし、「笑わせよう」としているのである。「生まれつき滑稽を好みて、人を笑わすことをわざとす」と称された方だそうで、人生の締めくくりもそれを通したという。
ハリウッドの大女優、エリザベス・テイラーの葬儀が始まったのは、予定時間よりも15分ほど遅れてからだだったという。実はそれが彼女の希望(遺言)で、メディアに「『彼女は自分の葬儀にさえ遅刻した』と発表して欲しい」と述べていたそうだ(実際そういう見出しの記事になった)。実はご本人、映画の撮影に何時間遅れてきても自分からは謝罪しなかったことで有名だったそうで、最期まで本人の持ち味としてニュースに仕立てたのだとか。
立川談志師匠の訃報の見出しは、そろって「談志が死んだ」であった。 これも本人が「上から読んでも下から読んでも同じ回文で、『談志が死んだ!』と書いてくれ」と頼んでいたからだそうだ。さらに自身で付けた戒名は「立川雲黒斎家元勝手居士」(たてかわ ウンコくさい いえもと かってこじ)。
このように、自分の意志で笑われる死を歓迎する方がとても多くいるのだ。
ある芸人さんが、自分の葬式は「最後の舞台だから、爆笑させたい」と言っていたのを思い出した。
この本は、決してそうしたエピソード集に終わらない。これから日本は「多死時代」へと向かっていくという。国内の年間死亡者数はすでに半世紀前の2倍近く、これからさらに3倍に向けて増えていくそうだ。著者は今の日本の「死」に対する考え方を変えていかないと、大変なことになると予想している📖
第一章は「怪しい葬式」という題。
その冒頭、江戸時代のとある奇抜な葬式が紹介される。「東海道四谷怪談」の作者、鶴谷南北が自身で仕込んだ本人の葬式である。菓子と台本が配られ、凝りに凝った仕掛けをし、「笑わせよう」としているのである。「生まれつき滑稽を好みて、人を笑わすことをわざとす」と称された方だそうで、人生の締めくくりもそれを通したという。
ハリウッドの大女優、エリザベス・テイラーの葬儀が始まったのは、予定時間よりも15分ほど遅れてからだだったという。実はそれが彼女の希望(遺言)で、メディアに「『彼女は自分の葬儀にさえ遅刻した』と発表して欲しい」と述べていたそうだ(実際そういう見出しの記事になった)。実はご本人、映画の撮影に何時間遅れてきても自分からは謝罪しなかったことで有名だったそうで、最期まで本人の持ち味としてニュースに仕立てたのだとか。
立川談志師匠の訃報の見出しは、そろって「談志が死んだ」であった。 これも本人が「上から読んでも下から読んでも同じ回文で、『談志が死んだ!』と書いてくれ」と頼んでいたからだそうだ。さらに自身で付けた戒名は「立川雲黒斎家元勝手居士」(たてかわ ウンコくさい いえもと かってこじ)。
このように、自分の意志で笑われる死を歓迎する方がとても多くいるのだ。
ある芸人さんが、自分の葬式は「最後の舞台だから、爆笑させたい」と言っていたのを思い出した。
この本は、決してそうしたエピソード集に終わらない。これから日本は「多死時代」へと向かっていくという。国内の年間死亡者数はすでに半世紀前の2倍近く、これからさらに3倍に向けて増えていくそうだ。著者は今の日本の「死」に対する考え方を変えていかないと、大変なことになると予想している📖