
平安閣カシータ「ボスコ」に集った参列者は一人一人が思い思いに社長と対面して別れを告げていた。
メッセージを書き留めた白い折り鶴を添えながら…。
棺の中で眠っている社長にはその参列者一人一人との深い関係があり、その絆を感じているのであろう。
社長はどんな人にも支え支えられて人生を生きているのだといつも口にしていた。
社員にも知らない人間関係があり、人生があるのだと思う。集まった参列者の顔の分だけの社長がいる。
最後に息子2人が棺のそばに立ち黙って父親の顔を見下ろしていた。
遠くから静かに本人と息子との別れを見守るホワイトレディースの姿があった。
(「堤町2丁目 奇跡の平安閣物語」より)