
「生が終わって死がはじまるのではなく、生が終われば死も終わる。死は生につつまれていて、生と同時にしか実存しない」(馬破れて草原あり)
どうしても生の対比に死を捉えてしまいますが、主人公が自分なら生も死も同じように見えます。
「他者の死は、かならず思い出に変わる。思い出に変わらないのは、自分の死だけである」(旅路の果て)
これも死を一人称で見るか二人称で見るかで違います。三人称で見るとお悔やみ欄になります。
「自己の死は数えることができない。それを見ることも、手でふれることもできない。だが、他者の死は読める。数えられる。手でさわることもできる。それは再現さえ可能の世界なのだ」(地平線のパロール)
まさに終活の真髄これに極めり。死は他人事ではなく自分ごとなのです。
生きることは死ぬこと。