

「病院の廊下とは、不思議なところです。その長い長い廊下で生と死がすれちがったりするのです。そこには、霊媒をする鴉、白髪の巫女たちが、病人をのせた担架をはこびながら行ったり来たりしています」(寺山修司「まんだら」)
なんという視点の鋭さなんでしょう。病院の廊下もテラヤマワールドの舞台装置になります。病院では生と死は対立関係ではなく相補関係にあると思います。
「生が終わって死がはじまるのではなく、生が終われば死も終わる。死は生につつまれていて、生と同時にしか実存しない」(寺山修司「馬敗れて草原あり」)