日銀の国債引受けは、なぜ「悪魔的手法」なのか…週刊ダイヤモンドより | 現役大家さん、現役投資家の生の声を聞かせます。

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週刊ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/16945

日銀の国債引受けは、なぜ「悪魔的手法」なのか
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

日銀の金融政策を巡っては、様々な論争がある。その中で、究極の禁じ手とされる日銀の国債引受けについて考えてみたい。

思考実験として、増税をすることを止めて、政府の必要資金をすべて日銀からの資金供給で賄うことにしたとする。皆さんは、「消費税の増税をせずに、日銀が国債発行分を全て引き受けて、税収不足を補えばよいのではないか」と問われたならば、その可否をどう答えるか。


財政管理は
通貨の信認につながる

筆者がその問いかけに回答するならば、「政府がお札を勝手に印刷すると信用を失うから、止めた方がよい」と答える。極端な例として、もしも紙に「1,000,000円也」とペンで書いて、自動車購入の代金に充てればどうなるか。

もちろん、それは詐欺的行為である。なぜならば、100万円と書かれた紙と、自動車を交換しようとすれば、間違いなく不等価交換になるからだ。

では、100枚の1万円札と、自動車の交換はどうか。それは、等価交換だからOKである。お札の表示は、価値の裏付けがある。価値の裏付けとは、政府がお札の額面で納税などの支払いに充てることを保証していることにある。

国民は、政府が1万円で受け取るのだから、同様に1万円の価値で相互取引をしてもよいと認めるのである。1万円札に与えられた信用が、連鎖的に認められて、不換紙幣の価値が成り立つ。

紙幣の歴史では、金の代用品として兌換券が流通し、それがやがて金の裏付けのない不換紙幣へと変わっていった。不換紙幣は、その価値が政府・中央銀行によって厳格に管理されていることが、信用の根拠になっている。管理通貨制度とは、不換紙幣を流通させるための信用確保の制度だとも言える。

通貨を厳格に管理しようとしても、ルーズになりやすいのは、政府の財政運営である。そうならないために、政府が行なう借金(国債発行)は、いつか必ず税金で償還されることが約束される。

現在、日本政府が、2020年度までに基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化させることを公約して、消費税率を引き上げようとしているのも、財政運営の健全性をどうにか維持しようと考えているからだ。最終的に税金で債務を完済するという約束が、通貨の信用をつなぎとめているとも言える。

ところが、今、日本の財政再建が危ぶまれている。政治的に、消費税率の引き上げへの反対論が強まっている。消費税を上げずに済ませる戦術の中には、いっそのこと消費税を増税せずに、日銀が新発国債を直接引き受けて、政府に財源を供与すればよいという考え方もある。

この日銀の国債引受けは、日銀が政府の当座預金に無制限に資金を振り込むことになり、お札の増刷と同じことになる。一方、従来のように、日銀が流通市場から長期国債を買い切る政策は、日銀の保有国債にもいずれ税金から償還資金が支払われるという点で、増税策と両立する。

日銀の直接引受けは、増税策の代替案として論じられる点で質的に異なる。日銀の国債引受けは、マネー・プリンティング(紙幣増刷)や財政ファイナンスと同義であることには注意が必要だ。


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国民が通貨の健全性を
信じなくなったら終わり

もし政府が、お札を刷って国民に対して、各種の支払いを始めればどんなことが起こるか。増税は絶対にできなくなり、安易な減税や歳出拡大が繰り返されて、日銀が便利な現金自動預け払い機(ATM)と化する。

恐ろしいのは、政府がお札をプリントして大々的に配ると、次第に国民が「受け取ったお札は1万円の価値がないのではないか」と疑い始めることだ。タコが自分の足を食べて生きていこうとするように、常識が麻痺した状態になることこそ、日銀の国債引受けが「悪魔的手法」と呼ばれるゆえんである。

江戸時代には、幕府が小判の金の含有量を減らして流通させ、財源不足を補おうとすることがあった。庶民は、品質が劣化した小判が流通することを知ると、手元に金の含有量費の高い小判を置き、品位の落ちた小判を率先して手放した。これが、「悪貨が良貨を駆逐する」という現象である。

現代においても、日銀の国債引受けが行われると、同じように「悪貨が良貨を駆逐する」現象が起こるだろう。個人は、円を信用しなくなり、資産保全のために率先して外貨を保有しようとする。キャピタル・フライト(資産逃避)である。

そして、制御できない大幅な円安になった挙句、輸入物価が予想外に上昇して、国民は物価高に苦しむ。消費税を5%上げることを嫌がっていたのに、もっと大きな輸入物価上昇に直面するのでは、元も子もない。輸入物価の上昇が国内からの購買力を流出させることは、庶民を貧しくさせる。


ぎりぎりの節度は
どこにあるのか

経済学の教科書に則して言えば、「日銀は物価をコントロールすることができる」前提になっている。しかし、「物価」を「通貨」と読み替えると、日銀は通貨価値を完全に操作・制御できない。特に、経済情勢が平時であれば、コントロールの力は高まるが、危機時になるとその力量は大きく落ちる。

管理通貨制度は、政府や中央銀行の規律によって、通貨の信用を築いているのだから、その信用が崩れたとき、通貨・物価のコントロールは制御不能に陥る。「通貨を堕落させる」操作には、ブレーキが効かない。

最後に、日銀の金融政策について述べておきたい。筆者は、今の日銀の政策姿勢が全て正しいなどとは思っていない。もっと積極的に、デフレ解消の知恵を出すべきだと常々考えている。

2月14日になって、日銀は「物価安定の理解」を表明し、消費者物価の上昇率1%を目指すことを改めてアピールした。程度の差はあれ、擬似的なインフレ目標である。この擬似的なインフレ目標の焦点は、日銀が消費者物価1%の伸びを達成するために、「何をやるか」が問題である。

今のところ、日銀資金を使って政府が財政拡張をし、民間需要を刺激するという手法は、支持されていない。量を操作しながらプライス・メカニズムを通じて金融面での間接的な効果を高めようとしている。

具体的には、中長期金利の低下を促し、間接的に為替を円安化させて、民間需要を刺激しようとしている。

ただし、この間接的な刺激効果は、限界が見えている。その限界を超えて、日銀がどんな非常手段を採れるかは、まだ合意がなされていない。

金融関係者の中には、「日銀の包括緩和政策の枠組みをもっと拡張した方がよい」と考える人も少なくない。筆者もそう考えるが、それで手応えのあるデフレ解消効果が得られると言い切れないのが、もどかしいところだ。


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