
週刊ダイヤモンド http://diamond.jp/articles/-/14951
怯んだら負けの真剣勝負
ファストフードのチキンレース!
2010年6月、世界のトリは、それこそ鳥肌を立てて恐れおののいたに違いない。なにしろ、ビーフがメインと思っていた日本マクドナルドホールディングスが、突如チキン・ナンバーワン宣言をしたのだ。新たに「アイコンチキン」シリーズを展開し、これまでにレギュラー商品として3品、期間限定商品として7品を投入した。
マクドナルドの商品開発は、同業他社に言わせると「既存商品の食材をうまく組み合わせてできている」が、アイコンチキンはチキンパティはもちろん、バンズやソースなど、すべて一から吟味した。
こうしてレギュラー商品に加わった「ジューシーチキンセレクト」は、発売1年間の売上本数が1億2500万本にも上った。
チキンを強化しているのはマクドナルドだけではない。直火焼きビーフハンバーガーを主力商品とするバーガーキングも、チキンの商品数を倍増させ、売上高全体に占める割合を10~15%にまで引き上げる考えだ。
しかし、迎え撃つ日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の関係者からは、「うちのCMをやってもらっているようなもの」と余裕の発言が飛び出る。実際、10年度の既存店売上高は前年度比4.2%増。今年7~9月の月間売上高はいずれも、この15年の各同月比で1、2番を誇った。
KFCのトリは空も飛ぶ
健康志向も大きな市場
KFCの強さの秘密は、トリへの並々ならぬこだわりにある。指定の農場、カット工場から毎日店舗にチルドで配送するため、KFCのトリは空を飛ぶ、つまり空輸されることがあったほどだ。
商品開発の強化も大きい。本社からクルマで1時間もかかるところにあったR&D(研究開発)センターを本社の近くに移転させたことで、マーケティングや販売、購買との連携などが取りやすくなり、09年頃からヒット商品を連発できるようになっている。
とはいえ、なぜ猫も杓子もチキンなのか。チキンはあっさりとしていて多くの日本人が好む食材といわれる。
加えて世は健康志向だ。「ヘルシーなイメージ」(バーガーキング)で顧客の心を鷲づかみにしたい。これと対極にがっつり系のハンバーガーにも人気が集まるが、市場が限定される可能性は否めない。

実際、健康志向の市場は拡大中だ。1992年に日本に進出したサンドイッチチェーンの日本サブウェイは、08年から訴求している「野菜のサブウェイ」が浸透し、昨年の既存店売上高は前年比9.4%増、今年も10月までは前年同期比8.7%増と好調に推移する。
7年連続前年割れのどん底から
7年連続増収マックのV字回復
一方、マクドナルドがチキン商品の強化で狙うのは、チキンの「想起率ナンバーワン」だ。そもそも、アイコンチキンの発売当時、カジュアルチェーンのチキン市場(焼き鳥店などは除く)におけるマクドナルドのシェアは、すでに16%もあったという。加えて想起率が向上すれば、チキン商品の売り上げはさらに底上げできる。
しかし、じつは最終目的はこの先にある。これまでマクドナルドにはなかったような商品を打ち出すことで新規客を獲得、「ビッグマック」などコアメニューにも興味を持ち、味わってもらうことでリピーターにしようという狙いだ。
客数は、顧客獲得数とその来店頻度で決まる。きわめて単純な話だが実践するのは難しい。着々と戦略に則して動くマクドナルドを同業他社が「マーケティングの会社」と恐れる理由がここにある。

そんなマクドナルドも、03年までは既存店売上高が7年連続前年割れするという“冬の時代”を経験している(上図参照)。そこから回復へ舵を切ったのは04年に社長に就任した原田泳幸氏だ。
QSC(品質・サービス・清潔)の徹底や出来立ての商品を速く提供するための新システムの全店導入など、外食企業としての基礎を構築。そのうえで「100円マック」の対象商品を一気に増やし、失った顧客を取り戻そうとした。魅力ある商品の開発や24時間営業店舗、ドライブスルー店舗も強化。提供できる価値が低価格だけではないところを見せつけた。
特筆すべきは、これら価値の向上と対にして行った06年からの数回の値上げだ。「いいものを適正価格で」。これが成長企業の神髄だ。
縮小にめげず逆襲する外食業界
肉食系経営者の群雄割拠を描く
外食業界を取材していて、強く思うのは経営者のバイタリティーの強さです。これまで、通信業界や自動車業界などを担当してきましたが、明らかにトップの雰囲気が違います。身体から発するオーラ、口調、血色……。
肉食系とでもいいましょうか、とって食われそうな迫力があります。それは、業界に参入したばかりの新興企業の若手経営者だけではなく、大手の経営者にもいえます。
外食業界は1997年の29兆円から縮小を続け、ここ5年は23兆円の水準にあります。しかし、こうした経営者がトップとして辣腕をふるい新たなブランドを開発し続け、また、新興の暴れん坊も次から次へと参入してくる。さらに大規模閉店や出店、企業買収も日常茶飯事です。業態の転換も激しく、270円均一の低価格居酒屋「金の蔵 Jr」で一世を風靡した三光マーケティングフーズの平林実社長は「牛丼に参入して1000店舗目指す」と仰天のプランを明かしてくれました。
実際、市場が縮小したとはいえ、減ったのはバーや民宿といったカテゴリーで、小規模な家族経営で、需要を汲み取れていない業態ばかりです。むしろファストフードなどの業態は成長を続けています。いわば、新陳代謝が激しく、常に地殻変動が起こり、23兆円の中身は毎年、がらりと変わっているということです。
『週刊ダイヤモンド』11月26日号の特集「外食の逆襲」では、ファミリーレストラン、居酒屋、牛丼、焼肉、ファストフード、ラーメン、スイーツ、そば、うどん、回転寿し、コーヒーなどが逆襲する様を、40ページに渡り紹介しています。
近年、元気がよかったハンバーガーや牛丼などのファストフーズだけでなく、ファミリーレストランや居酒屋といった前年比割れが続くような業界でも、復活の兆しを見せている会社が現れ始めています。かつての外食産業のトップ企業であるすかいらーくは、非上場化したために、近年、内実が知られていませんでした。今回、初めて本誌に大改革の様子を開示してくれました。
また、上場している外食企業を売上高や利益で分析するなど、保存版のデータ集ももりこみました。
年末年始は外食業界にとって一番の繁忙期です。クリスマスや忘年会、新年会でお店を訪ねる方も多いと思います。そのお供に、ぜひ一読いただければと思います。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介)
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