週刊ダイヤモンドより http://diamond.jp/articles/-/14854
欧州危機後に何が起こるか?
2013年、大暴落後の日本経済
ギリシャに端を発した欧州の財政危機。ギリシャのみならず、ポルトガル、スペイン、イタリアなどのPIIGS諸国にも飛び火し、世界経済を失速しかねない状況にある。しかし、財政悪化が進む日本にとって、これは対岸の火事ではない。『2013年 大暴落後の日本経済』を上梓した中原圭介氏に、欧州危機の次に起こりうる日本の財政危機についてうかがった。
欧州危機の次はどこか?
ヘッジファンドが狙う国、狙わない国
最近、書店に行くと、「日本は財政破綻する」といった内容の本が並んでいます。連日のように欧州の財政危機が報じられ、その内容は深刻さを増すばかりです。国民の間にも危機感が広まっているのかもしれません。
しかし私は、日本が財政破綻することはないと考えています。
その理由は拙著『2013年 大暴落後の日本経済』を読んでいただくとして、日本がたとえ財政破綻を回避できたとしても、国民の生活は確実に苦しくなります。
「国債の暴落なんて、自分にはあんまり関係なさそうだな」と思っている人もいるでしょう。
ところが、それは大きな間違いです。国債の暴落も財政の危機も、私たちの生活に大きな影響を与えます。
国債暴落の引き金は、ヘッジファンドによる売り崩しです。
ヘッジファンドは戦略上、実質的な債務を「国家の債務+金融機関の債務」と考えています。この基準で判断すると、実は英国も債務の対GDP比率は200%を軽く超えてしまいます。英国は金融業に偏重していることもあり、金融危機の傷跡がとりわけ大きく、財政を立て直しするには相当の困難が伴うはずです。
ところが、英国は投機マネーの攻撃を受けていません。
理由ははっきりしています。英国政府は歳出削減と増税を組み合わせて、大胆な財政再建を実行できる。ヘッジファンドがそう見ているからです。
英国政府にはそういった信用があるため、格付け会社も英国債の格付けを最上位の「トリプルA」で維持しています。
これに対して、イタリアやスペインが攻撃されるのは、政府に信用がないことも大きいのです。日本政府がイタリアやスペイン並みに信用されていないのは、G20などの国際会議を見ていてもよくわかります。
日本には、英国以上に財政再建に取り組む余力があるはずです。そして、国債利回りが低い水準である今であれば、国民生活への打撃も比較的小さくできるはずです。
それを理解できない政治家も、日本国債が投機マネーの攻撃を受ければ、目が覚めるでしょう。
大増税と社会保障費の削減でも
財政再建したほうがお得!
このまま放漫財政を続ければ、遅かれ早かれ、日本は投機マネーの攻撃を受けることになります。その結果、日本は国際社会からも財政再建を強く迫られ、消費税の大幅な引き上げと社会保障費の削減を約束させられます。ここに来てやっと、日本の本格的な財政再建が始まります。
国民は財政再建を受け入れざるをえません。このまま社会保障費の膨張を放置し、国家が破綻する道を選ぶのか、それとも、自分たちの生活が苦しくなっても、財政再建で国が生き残る道を選ぶのか。残された道が2つに1つしかないのなら、国民は後者を選ぶしかありません。
なぜなら、もし財政再建を受け入れなければ、手厚い社会保障を失う以上の苦難に直面することを、私たち自身が本能的に理解しているからです。
国家破産で得をするのは、借金が帳消しになる人だけです。ところが、日本人の1世帯あたり平均貯蓄額は、負債を差し引いても1100万円を超えています。コツコツ貯めてきた貯蓄がゼロになることを望む人は、おそらく1人もいないでしょう。
政府から「国家破産か、財政再建か」という2つの選択肢を示されれば、大多数の国民はやむなく財政再建を選ばざるをえず、消費税による大増税と社会保障費の大幅な削減を受け入れるしかないのです。
ですから、日本の将来にとって重要な論点は、「国家破綻するのか、しないのか」ではありません。考えるべきは、疲弊した古い社会システムを、財政危機をきっかけに活力ある新しい社会システムに変革することなのです。
増税するだけでは解決しない!
すべての問題はつながっている
財政、経済成長、年金制度、税制、少子高齢化、雇用というそれぞれの問題は、表向きは個別の問題のように思えるかもしれませんが、実はすべての問題が裏では相互に作用し合い、密接につながっています。
現在の日本は、それぞれの問題を別々の省庁が担当する「縦割り行政」ですが、それではこの国が抱えている問題を決して解決することはできません。
「日本全体を豊かにするためにはどうすればよいか」という大きな視点で捉えなければ、根本的な問題の解決は難しいでしょう。財政、年金制度、税制、少子高齢化などといった問題を大きな枠組みでひとつの問題として捉え、思い切った改革を実行しなければ、この国は落ちていくだけです。
思い切った改革を断行するには、やはり強い政治の力が必要です。しかし残念ながら、今の政治は官僚の言いなりで、まったく本当の意味での政治ができていません。
私は、何の計画性もない、ただの増税には反対です。この国の疲弊したシステムを改め、国民が豊かになるための増税には賛成ですが、今の政権は何の意味も見出せない理念なき増税をしようとしています。
「日本が抱えるすべての問題はつながっている」という意識を、国民ひとりひとりに持ってもらいたいと考えています。日本が奈落の底に落ちないようにするためには、私たち自身が少しでも賢くなり、世論に働きかける必要があるからです。
財政再建で国民生活はどうなるのか?
財政再建を推し進める結果、国民の生活はどのようになるのでしょうか。
本格的な財政再建が始まれば、国民の生活水準は明らかに下がります。消費税は少なくとも5%上がり、社会保障費は大幅に削減されるのですから、国民の可処分所得が平均して10%程度減少することは覚悟しなければなりません。
さらに急激な円安により、物価が一時的に3~5%程度上昇し、景気が悪化する中でのインフレは国民生活に実態以上の不安を抱かせるでしょう。
ですが、国民生活がこのようになるのは、まだマシだという考えを、私たちは持たなければなりません。
忍耐強い日本国民ならば、このくらいの痛みは耐えることができるでしょう。その痛みと引き換えに、国の財政が健全化し、子どもや孫たちに背負わせる借金を減らすことができるなら、国の財政再建にも納得できるという国民も多いはずです。
最悪のケースは、ヘッジファンドに攻撃されることもなく、日本の財政悪化がこのまま5年も10年も放置され続けることです。
政府が税制や社会保障制度の抜本的な改革を進めずに、消費税を2%上げたくらいでお茶を濁したとしたら、2020年を迎えるころには、日本国民にはとんでもない悲惨な未来が待ち受けているでしょう。
現実的に考えれば、国際社会や金融市場が2020年までこの状況を許してくれるとは思えないのですが、財政健全化の先送りを繰り返していると、債務が雪だるま式に膨張し、最後は取り返しがつかなくなるのは、誰の目から見ても明らかです。
2020年の時点で国の債務がどれだけ膨らんでいるのか、正確な試算はできませんが、少なくとも債務の総額は1500兆円を超え、GDP比で300%に達していることだけは間違いありません。
少子高齢化による財源不足が、年々加速度的に進行していくからです。そこまで財政悪化が極まると、もはや末期の癌患者と同じで、救いようがありません。
ヘッジファンドが攻撃をするまでもなく、金融市場は日本の財政悪化に応じて、ごく自然な形で日本国債に正当な評価を下すでしょう。
つまり、国債利回りは3%を超え、日本は自力での国債発行を断念せざるをえなくなるのです。
政府は何も手を打つことができずに、IMFに支援を求めることを決定するでしょう。限界を超えて財政悪化が進んでしまっては、もはや政府自らが国民に過酷な生活を強いる再建策を示すことはできないからです。
それよりは、IMFに駈け込んで強制的に再建策を押しつけられるほうが、はるかに楽なはずです。
しかし、IMFの2011年8月末時点の融資枠は、わずか4000億ドル(約30兆円)です。楽観的な見通しを立てて、仮にIMFが2020年に融資枠を5倍の2兆ドル(約150兆円)に拡大できたとしましょう。
それでも、日本の債務は少なく見積もっても1500兆円超あり、IMFが単体で救済をするには荷が重すぎます。どうしても世界各国による追加融資が必要になります。
過去の韓国やインドネシアなどの例を見ても、IMFが融資するだけで厳しい財政再建策が押しつけられるというのに、世界各国の追加融資まで加わっては、その財政再建策は日本にとって非常に過酷なものになるでしょう。
消費税の20%への引き上げや年金支給額の15%カット、医療費窓口負担の30%増など、国民の可処分所得は実質的に2割超も減ることになり、日本に住んでいても明るい未来をまったく思い描くことができなくなってしまうでしょう。
おまけに悪い物価上昇が実質的な所得をさらに押し下げます。比較的短い期間で円相場が50~100%下落する一方で、物価は5~10%上昇してもおかしくはありません。
かつて韓国がIMFの救済を受けたときは、ドル・ウォン相場が1ドル1000ウォンから2000ウォンへ下落し、物価は10%上昇しました。可処分所得が減る上、物価も上がれば、国民生活はますます困窮することになります。
こうして見てくると、はっきりわかることがあります。それは、ヘッジファンドの攻撃が早ければ早いほど、日本が受けるダメージは小さくなるということです。
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