「脱サラして」という話以外にも誘いがあった。


今度は逆に大手企業からだ。


既に飲食店を多店舗展開しているチェーン店が新業態開発として、「中華のファーストフード」に目をつけ僕たちと提携しようというオファーだ。


しかし、これは条件交渉がかなりハードになる。


いわゆるMBO的手法をとるため、様々な成約がついてくることが予想された。大手企業からみれば僕らの経営状況は手に取るようにわかるだろうし、もう少し僕ら自身の価値を高めてからテーブルに着かないと有利な交渉ができないように思えた。


こういう時、4人いる経営陣の中で、直接交渉にあたっている者と、そうではなくお店のオペレーションに従事している者での温度差が出てくる。僕は後者の方だった。


経営陣の構成は、社長(一番お金を出した人)がいて、副社長(僕をこの会社に誘ってくれた友人)がいて、僕のポジションはナンバー3か4だった。


今、思うとこういう時の決断は直接交渉している者や最終的には一番のTOPである社長の考え方を尊重すべきであった。

この時は、交渉担当=社長だった。なので、余計話がこじれた。


はじめ、社長 対 他3人 という構図になり社長が孤立した。


そのうち、他3人の役員間でも 2 対 1 という構図で議論がたえなかった。


そうこう議論している中でも、どんどんお金はなくなっていく・・・