リクルート社長の江副さんが公開前の将来値上がり確実なリクルートコスモスの株を政治家に配った、という事件。
この事件によりリクルートコスモスの上場計画は取り止めになり逮捕者も出て大変な騒ぎになった。
「えらい会社に入ったもんだ。」
若い世代にも動揺が走った。皆んな、なけなしの給料で株を買っていたし、先輩には借金してまで自社株を購入している人もいた。そんな株も一瞬で紙くず。
それだけでなく仕事に支障も出た。「そんな会社のマンションなんかに住みたくない。」とか「取引をやめる。」など営業上のキャンセルが相次いだ。
賃貸のモデルルームで接客していた時、逆上したお客様に髪の毛を掴まれ、
「お前はかつらじゃないのか?ペッッ!」
と唾を吐きかけられたこともある。
これは江副さんがかつらをつけた変装姿で外出するのを写真週刊誌に掲載されたことによる。
前途洋々だった社会生活が暗転した。
それまでチヤホヤしてくれた取引先も半分以上離れていった。
しかしそんな状況でも、「俺は応援してるぞ!」「こんな時だからこそ一緒に頑張ろう!」と言ってくれた取引先やお客様がいた。これには涙が出た。
会社/ブランド等の看板、社会的な信用は築くのに時間がかかるが失うのは一瞬である。
しかしこういう時に逆に強まる絆があることが分かった。
こういう時に離れていってしまう人とは結局それだけの関係。こういう事件が無くても大した関係に発展しなかっただろう。
つらい時大変な時にこそお互いどのように振舞えるか?
究極のピンチは、真価を見極めるためのチャンスでもある。