「悪いことは言わない大学だけは出ろ!」
「音楽の道を志すのは構わない。だけど本当にお前のことを思ってくれている人なら後1-2年くらい待ってくれるはずだ。もし待ってくれないなら、今便利で都合がいいからお前に側にいて欲しいだけでお前の才能を買ってくれているわけじゃない。そこのところをよく見極めろ!」
親の一言が頭から離れない中、中途半端な気持ちで仕事をしていた。
本当にこの人のことを信じていいのか?・・・
いやもっと本質的には、「自分には才能があり、本当にこの道に進んでやり遂げる覚悟があるのか?」
「ロスに本拠地を移していよいよ本格的に活動するから一緒についてくるか?」
仕事の後クラブで飲んでいる時、決定的な誘いがあった。
そろそろ決断しないといけない。
そんな時にひどい風邪をひいた。当然休むことはできず、相変わらずの睡眠不足の中フラフラでスタジオに向かって運転していた時、事故をおこしてしまう。
ベットの中でいろんな考えがグルグルめぐっていたが、やがて深い眠りに入っていった。
久しぶりに良く寝た。
目覚めた時、憑き物が落ちたように音楽の道を志す情熱がなくなっていた。
その人にはロス行きの話も断り、それがきっかけで仕事も辞めた。
もう音楽の道は追わない。まずきっちりと大学を卒業してビジネスの道に進もう。
論理的に答えを出したわけじゃなかった。本能的な判断だった・・・