母方の祖父は鈴木亜夫といって洋画の世界では有名な画家だった。
小さい頃はよく祖父のアトリエに従兄弟の敬ちゃんともぐりこみ遊んだものだ。
今でもアトリエの絵具の匂い、祖父が大好きだったコーヒーの香り、たまに祖母には内緒で祖父からこっそりもらったバターココナッツビスケットの切ない甘さが思い出される。
母方の家系には芸術家タイプが多い。
母もフリーのアナウンサーだったし、母の兄弟は、セスナのパイロット、写真家、レーサーで、従兄弟の敬ちゃんは作曲家などなど、本当に一人も普通の勤め人はいない。
僕にもその血が受け継がれているのだろうか?
絵は小学生の頃は賞をもらったり、小学校の卒業製作レリーフは人気投票で僕に決まり、原画のデザインをした。
音楽は一時期趣味が高じてプロになろうとして親父にとめられた。その後も趣味の領域で聞くのも演奏するのも好きだ。ピアノやベースなら今でも弾けるし、音楽に浸るのは何よりもリラックスする。
しかし従兄弟とは違い、結局僕自身はそういう道には進まなかった。
ビジネスマンとして生きる道を選んだ。
今、僕にとっては、イー・コミがキャンパスだ。
この絵はまだデッサンの途中で、ましてや色もついていない。
デッサンの仕上げまでは僕がやる。
どんな色に染め上げるかは皆でやっていきたい、と思う。