Morito Ergo Sum 『A Mournful Foreboding』 | Dark Music Space

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Band Name:

Morito Ergo Sum

 

Album Title:

A Mournful Foreboding

 

Track List:

1. Silence, My Beloved Friend
2. Falling Low
3. I Won't Be Around (Tomorrow)
4. Crows of Hate
5. My Shameless Pain
6. Rain
7. Gone (MMXVI)
8. I DIe, Therefore I Am (MMXVI)

 

Band Members:

Sebastian Rosengren (Male Vocals, Violin)
Xavi Aguilar (Electric Guitars, Acoustic Guitars)
Paolo Cito (Electric Guitars, Acoustic Guitars)
Harry Virtanen (Basses)

Website:

Bandcamp
YouTube

スェーデン、ストックホルム出身、ゴシック・ドゥーム・メタル・バンドであるMorito Ergo Sumが2016年にリリースした、1stフル・アルバムにあたる『A Mournful Foreboding』。

その音楽性は、中音域の陽気さと不気味さを併せ持つ男性ヴォーカリストをフロントに迎え、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、ベース、ヴァイオリンなどといった生楽器に、そしてプログラミングによるドラムのサンプリングを配した、王道のゴシック・ドゥーム・メタルとアコースティック調のインストゥルメンタルとが交互に展開されるという起伏に富んだイメージのある一枚へと仕上がっています。

 

男性ヴォーカリストとして在籍するSebastian Rosengrenによる歌唱は、ポルトガル出身のゴシック・ドゥーム・メタル・バンドであるA Dream Of Poeに男性ヴォーカリストとして在籍するPaulo Pachecoによる歌唱に、何処となく似たところがあり、A Dream Of Poeのファンであれば高確率でお気に召す事と思いますが、デス・ヴォイスが皆無である分、このMorito Ergo Sumの方が聴きやすいのかも知れません。

正直な感想を申し上げると、A Dream Of Poeは、デス・ヴォイスが蛇足であると感じてしまいます。

 

1stミニ・アルバムにあたる『Moonchild』から一貫して音楽性の大きな変化はありませんが、本作にあたる『A Mournful Foreboding』では数曲の、アコースティック調のインストゥルメンタルが追加されています。

頭の固いメタラーである私としては、初めて聴いた時は蛇足に感じてしまいましたが、聴き込むうちに好きになっていきました。

 

ドラムの音色がサンプリングであるが故に、ヘヴィ・メタルとしては致命的な、少なからず軽さを感じさせてしまうところが注意点ではありますが、十分に及第点を超えてはいます。

それでも、やはり、専任のドラマーを雇って欲しいとは思ってしまいます。

 

インストゥルメンタルが3分、それ以外は6分から8分にかけてのものが多く、楽曲の一つ一つが比較的長尺に制作されていますが、ゴシック・ドゥーム・メタル界においては普通の事だと思います。

良く言えば明快、悪く言えば単調である楽曲の構成は、複雑さが無く、聴き手は思う存分に悲壮感に浸る事が出来ます。

その反面、プログレッシヴ・メタルなどのような、良く練られた楽曲の構成力を求めるメタラーさんにとっては、物足りなさを感じてしまうのかも知れません。