A Dream Of Poe 『A Waltz For Apophenia』 | Dark Music Space

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Band Name:

A Dream Of Poe

 

Album Title:

A Waltz For Apophenia

 

Track List:

01. La Mort Blanche   
02. Abyss, My Lover   
03. Pareidolia
04. Vultos II (The Apotheosis Of Deliverance)    
05. Abyss, The Destroyer  
06. The Voice Of Fire 
07. A Valsa Dos Corvos 
08. World's End Close

 

Band Mambers:

Paulo Pacheco (Male Vocals)
Miguel Santos (Electric Guitars, Acoustic Guitars, Basses, Keybords, Drums)

Website:

Amazon

Bandcamp

Zero Dimensional Records
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CD Review
ポルトガル、ポンタ・デルガダ出身、ゴシック・ドゥーム・メタル・バンドであるA Dream Of Poeが2016年にリリースした、3rdフル・アルバムにあたる『A Waltz For Apophenia』。

その音楽性は、中音域の陽気さの中にも何処か倦怠さと邪悪さを秘めたマイルドなクリーン・ヴォイスと、時折感情が爆発したかのように炸裂する低音域のデス・ヴォイスという、その二種類の声色を操る男性ヴォーカルをフロントに迎え、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、ベース、ドラム、そして一部の楽曲にアクセントとしてキーボードなどといった生楽器を配した、ミドル・テンポからスロー・テンポにかけての物悲しくも牧歌的な雰囲気に包まれたゴシック・ドゥーム・メタルが、一枚のCDアルバムの全編に渡り展開されています。

ここ最近は、男性ヴォーカリストによる美しいクリーン・ヴォイスを主体としたドゥーム・メタル・バンドばかりを聴いておりますが、このA Dream Of Poeというバンド、それ以外ではノルウェー出身のFallen、ノルウェー出身のFuneral、イタリア出身のThe Foreshadowingなどといったバンドは、やはりその中でも格が違うと、あくまでも私としては改めて思います。
このDream Of Poeというバンドの場合は、正直な感想を申し上げると、男性ヴォーカリストとして在籍するPaulo Pachecoによる歌唱力に関しても、全てのバッキングの生楽器を担当するMiguel Santosによる演奏力に関しても、そして楽曲の一つ一つが持つメロディ・センスに関しても、特別な才能を持っていると言う事は出来ませんが、それでも何故か無性に聴きたくなる時があるという中毒性を秘めています。

 

シンフォニックの無駄な装飾を一切排除したシンプルな、骨太な音作りと、随所にて聴く事が出来る、鋭利な、華麗なギター・ソロは、ゴシック・ドゥーム・メタルというよりも、スロー・テンポを主体としたヘヴィ・メタルとして聴く事も出来ると思います。

もっとも、ドゥーム・メタルというサブ・ジャンル自体がミドル・テンポからスロー・テンポを主体としたヘヴィ・メタルという事なのは、百も承知しております。

音楽性そのものに関しては1stミニ・アルバムである『Sorrow For The Lost Lenore』のリリースによるデビューを飾ってから現在に至りまでは、男性ヴォーカリストが正式的に加入した事以外は一貫して大きな変化はありませんが、前作に当たる『An Infinity Emerged』がデス・ヴォイスを一切排除した、あくまでも歌に重きを置いた、ゴシック・ドゥーム・メタル界の名盤であったのに対し、本作にあたる『A Waltz For Apophenia』では若干、デス・ヴォイスの比率が増えました。
あくまでも私としては、このDream Of Poeというバンドの場合は、一枚のCDアルバムの全編を通してクリーン・ヴォイスにより勝負した方が提供する音楽性に似合っていると思うので、少なからず残念に思ってしまいましたが、それは前々作にあたる『The Mirror Of Deliverance』をリリースした頃の作風に戻ったと言えるでしょう。
何よりも、楽曲自体はスロー・テンポを主体とした、起伏の少ない、淡々と時が流れていくかのような作風なので、このデス・ヴォイスが無ければ退屈極まりなく感じてしまうという聴き手も存在するのかも知れません。

 

単体の楽曲の尺の長さは6分から8分、10分にかけて、そして一枚のCDアルバムをトータルすると全8曲60分という、楽曲の一つ一つが比較的長尺に制作されています。

正直な感想を申し上げると、楽曲の一つ一つの判別を付ける事が少なからず困難を極めるバンド、及び一枚へと仕上がっていて、1曲目が中々終わらないと思いミュージック・プレイヤーの画面を確認したところ既に2曲目に突入していた、というような事も数多くあります(笑)。

それを素晴らしい統一感と捉えるのか、退屈極まりない音楽と捉えるのかは、聴き手の感性に委ねられていると思います。