北方水滸伝 | hassanのブログ

北方水滸伝

ハードボイルドを読むと「けっ」と唾を吐きたくなるような私ですが、北方謙三も歴史・講談モノになると素直に楽しめてしまいます。ハードボイルドモノの作者にありがちですが、北方謙三の書く漢(オトコ)達は類型的に非常に薄っぺらで、楊家荘に出てきたキャラも水滸伝に出てくるキャラもほとんど一緒です。ここら辺は車田正巳が書くキャラがどのシリーズも顔も性格も変わらないのと全く一緒。違うのは舞台だけ。ついでに言えばやっていることも時代と場所が違うだけで同じです。

ただ108人も英雄豪傑が出てくる水滸伝辺りは一人ひとりの造形までしているととてもじゃないけどやってらんないので、この位がちょうどいいんではないかとも思わないでも無い次第。

悪口ばかり書いていますが、エンターテイメントとしては非常に秀逸な作品です。私は引き続き続編の楊令伝も読んでいます。

どうでもいいですが、吉川英二の水滸伝の後書きで栗本薫(中島梓名義だったかも)が「私は原作に忠実な翻訳を先に読んでいたので、吉川水滸伝の登場人物たちは行儀が良すぎてつまらない。だいたい李キという人物は人肉を食ってしまうような粗暴というか人倫のかけらも無いキャラなのに吉川水滸伝ではみんな倫理に則った人物として描かれていてつまらない」という趣旨のことを書いていました。後書きで「つまらん」と書く栗本薫はやはり只者ではないが、載せる編集部も編集部だと思うぞ。