SNSやブログ上で目にする「セレブハーフ美女」「モテる老人」など、明らかに現実味のない虚構人格たち―これは単なる冗談でも遊びでもない。彼らは、孤独や寂しさ、あるいは異常に高い承認欲求から、現実では得られない称賛や注目を得るために、巧妙に偽りの人格を作り出しているのである。1人が複数のアカウントを使い、全く別の人格として小学生や中高生にまで成り済ますことも珍しくない。
心理学的研究によれば、偽の自己呈示(false self‑presentation)はSNS利用と強く関連しており、孤独感や社会的承認の欠如が、その主要な動機とされている(Kornienko & Rudnova,2024)。また、ユーザーは、虚偽のアイデンティティを作ることで自信のなさを補い、承認や称賛を求める傾向が確認されている(Hermawati et al.,2024)。さらに、虚構人格は他者比較や否定的評価への恐れ、過剰な自己呈示欲と密接に結びついていることも示されている(The Role of False Self‑Presentation and Social Comparison in Excessive Social Media Use, 2025)。
また、フォロワーや読者が「大国大統領と懇意」「実家は超財閥」「モテモテで困る」といった荒唐無稽な設定を信じるのは、単なる鈍感さや馬○さのみではなく、心理構造とSNSの匿名性・拡散力が相まって起きる構造的現象である。虚構が虚構を呼び、嘘が嘘を増幅する。承認欲求の代償として、こうした虚偽の世界に巻き込まれる人々―そしてその嘘に気づかず称賛する人々の地獄絵図は、静かに、しかし確実に広がっている。