今年は記念すべき第100回箱根駅伝だったが、大方の予想を裏切って、母校の青山学院大学が総合優勝を果たした。それも大会新記録でだ。誰もが駒澤大学の2年連続大学駅伝3冠を果たすと思っていたのに、ОBとしては嬉しい誤算である。

なぜ青学が駒澤に勝つことが出来たのか、いろんな要因が考えられるだろう。

詳しい分析は専門家にまかせるが、興奮した2日間を振り返ってみたい。

 

往路優勝のポイントは2区と3区

1区は駿河台大のレマイヤンが飛び出し、駒大の篠原ら3人が追う展開になるが、終盤篠原がレマイヤンを振り切って首位に立つ。青学大の荒巻は最初は4位につけていたが、トップと35秒差の9位に沈んだ。

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1区スタートして2km、内幸町付交差点近

 

ここまでは駒大のペースで、誰もが駒大の3冠を確実視したことだろう。

駒大の2区は1万メートルのベストタイムが27分台の鈴木芽吹選手(4年)だ。

ここで青学大の黒田朝日選手(2年)が素晴らしい走りで7人抜きを果たし区間賞で、2位となり22秒差とする。

2区5km新子安付近

 

トップの交代は3区に起きた。駒大はこれまた1万メートルのベストタイムが27分台の佐藤圭太選手(2年)だ。

これに対して青学大の太田蒼生選手(3年)は7km過ぎで佐藤圭太選手に追いつき、激しく競い合った末に18km過ぎにラストスパートして4秒差で4区の佐藤一世選手(4年)にタスキを渡したのだ。

 

この後青学大は4区でも区間賞となり、5区の山登りでは若林宏樹選手(3年)が区間2位の走りで、青学大は往路優勝を果たしたのである。駒大との差は2分38秒まで開いていた。

雨の中、5区の大平台と宮ノ下の間を走る若林選手

 


 
1万メートルのベストタイムを比較したら    
  青山学院大学 駒澤大学
区間 氏名 記録 氏名 記録
1区 荒巻朋興2年 28分32秒48 篠原倖太郎3年 27分38秒66
2区 黒田朝日2年 28分15秒82 鈴木芽吹4年 27分30秒69
3区 太田蒼生3年 28分20秒63 佐藤圭太2年 27分28秒50
4区 佐藤一世4年 28分11秒00 山川拓馬2年 30分27秒22
5区 若林宏樹3年 28分25秒71 金子伊吹4年 29分29秒62
6区 野村昭夢3年 28分39秒23 帰山侑太2年 29分18秒99
7区 山内健登4年 28分28秒75 安藤太陽4年 29分08秒88
8区  塩出翔太2年 29分20秒91 赤星雄斗4年 30分07秒21
9区 倉本玄太4年 28分19秒31 花尾恭輔4年 28分29秒82
10区 宇田川瞬矢2年 28分43秒75 庭瀬俊輝3年 30分27秒61

 

駒大には1万メートルのベストタイムが一流ランナーの証と言われる27分台の選手が3名もいて、その3名が1区から3区に配置している。

これに対し青学大は1区の荒巻選手や2区の黒田選手も3区の太田選手もいずれも28分台である。箱根駅伝の区間は全て20km以上あるので、1区の荒巻選手は駒大の選手とは1万メートルのタイム差が1分近くあるので、2区にタスキを渡すまでに2分前後は離されてもおかしくない。ところが9位とはいえ、35秒差でつなげたのが、大きかった。

 

それにしても2区の黒田選手と3区の太田選手はよく頑張った。自分たちより格上の駒大の選手を大きく上回る、区間賞の走りをしたのだから。

 

この後4区と5区では1万メートルの力の差はほとんどなく、青学大が差を広げたのである。

 

青学ОBの熱心な応援

話は少し横道にそれるが、私の2年後輩の吉村君(仮名)の話をさせていただきたい。

 

彼は青学のОBで、毎年箱根駅伝を現地まで足を運んで熱心に応援している。その熱心さは半端ではなく、箱根だけでなく出雲駅伝では島根に、全日本駅伝では伊勢まで出かけてく。ありがたいことに、そのたびに私まで写真や動画を送ってくれるのだ。

 

今回も電車で移動しながら、1区、2区で応援しながら写真や動画を撮り、その後は小田急線と箱根登山鉄道を乗り継いで大平台駅で甘酒を飲んでから雨が降る中を山の中に入って5区の選手を応援したそうだ。

 

翌日は6区の中継所である小田原の鈴廣かまぼこ店でタスキリレーを見てから、

区の新子安と10区の京橋に移動したという。

※写真はすべて後輩の吉村君(仮名)が撮影したものです。

 

そんなに熱心な彼のことだから、青学大の原監督とも顔なじみらしい。当然だろう。

 

彼の事は私のブログの中で一度紹介している。(2019年10月「素敵な名刺を持つ人」)もしよければ読んでいただきたい。

 

青学大は2日目も一度も首位を譲らずに復路も制し、総合優勝を果たした。

第100回箱根駅伝は、青学大が駒大の2年連続3冠を阻んだこと以外にも、城西大が過去最高の3位になったこと、中央大が前回2位からシード落ちしたこと、大東大が最終10区で東海大を逆転してシード権を得たことなど、様々な話題を生んだ。

 

駅伝は心の持ち方で大きく変わるものだ、ということをあらためて学んだ青学大の快走だった。

 

今回の箱根駅伝を酒の肴にして、吉村君と飲むのを楽しみにしている。