中国各地で私刑が横行中 | ふうりんの備忘録

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中国での生活・体験など

湖南省の田舎町で、一人の中年女スリが群衆に囲まれて服を脱がされ、ボコボコに殴られるという事件が起こった。
 スリの常習犯であるこの女は7月12日、仲間の男とともに地元の商店を訪れ、店主にある商品を取りに行くよう要求。店主が商品を取りに行っている間に、そこにあった店主の財布を置引し、逃亡しようとした。しかし、それに気づいた店主が後を追いかけると、商店街の人の助けもあり、女だけは捕まえることに成功した。女が盗んだ財布の中には、1万元(約20万円)以上の現金が入っていたという。
 それで警察に通報すれば一件落着──のはずだったが、そうは問屋が卸さないのが中国。興奮した群衆が女スリを取り囲むや、引き倒して無理やり服を脱がせた上、殴る蹴るの暴行を加える騒ぎに。通報を受けた警察が現場に到着して、ようやく暴行は収まった。

最近の中国ではこれまでにも、捕まったスリや泥棒を怒った群衆が取り囲み、暴行を加える事件が起こっている。
 2012年12月、湖北省武漢市の衣服市場で、スリと疑われた中年男性が店員4人から暴行を受けた後に警備員に引き渡されたが、間もなく病院で死亡している。
 また13年7月には雲南省の村で、捕まえたスリに村人が暴行を加え、死亡させるという事件が起こっている。この事件では19人が逮捕され、6人が暴行傷害致死の容疑で起訴されている。
 そして昨年11月には安徽省淮南市のショッピングセンターで、50代の夫婦がスリに間違われ、数名の警備員に殴打されてケガを負うという事件も起こっている。
 もはや警察は無用とばかりに、犯罪者に自分たちで制裁を加える人民たち。司法に処罰を任せたところで、大した罪にならないということもあるのだろうが、彼らの姿は、世の中に対する日頃の鬱憤を晴らしているようにも見える。