映画芸術(436号)
とても不謹慎でおかしな物言いになってしまいますが、現在発売中の映画芸術(436号)の"追悼"記事(寄稿文)がやたら読み応えあります。ホントはこういう記事が充実しないに越したことはないワケで、なんとも言えないジレンマを感じつつも…それでもやはりこの豪華さ(汗)には思わず目を奪われてしまうのです。
【鎮魂、映画の昭和】
岡田 茂
「どうぞ、やすらかに」富司純子
「岡田さんの思い出」降旗康男
「岡田茂……この魅力ある人」野上龍雄
「岡田茂さんのご逝去を悼んで」佐藤純彌
「最後の活動屋プロデューサー逝く」鈴木則文
「がおっと吼えて、なあおい!」神波史男
安藤庄平
「庄ちゃん」小栗康平
「『遠雷』のラストカット」根岸吉太郎
「二十七年前の忘れられない日々」和田 誠
「加藤彰監督と安藤庄平カメラマンのこと」上垣保朗
加藤 彰
「同期加藤彰のこと、いくつか」伊地智 啓
「去来する撮影所の日々」村川 透
「ソープランドの回数券」岡田 裕
「半生を尽くした、その仕事」伊藤亮爾
「わが師匠 加藤彰監督」小沼 勝
「慕ぶ」中川梨絵
高田 純
「牛かて涙流して泣くんやで……」関本郁夫
「GSX400Sカタナと共に逝った」生江有二
「純さんのこと」連城三紀彦
沖山秀子
「喜怒哀楽のドキュメント」森崎 東
長門裕之
インタビュー:津川雅彦
「あきおちゃんのこと」井田 探
「長門裕之さんのこと」吉行和子
「私が会った役者」秋吉久美子
【追悼】
団鬼六
「西永福のさくらのこと」富岡ただふみ
木村栄文
「ある巨匠の死 テレビドキュメンタリーの虚と実」渡辺 考
いいだもも
「いいだ、ここがロドスだ」小中陽太郎
シドニー・ルメット&アーサー・ローレンツ
「相次ぐ訃報にある〈世代〉を偲ぶ」佐藤千穂
- 以上 -
ほぅらご覧なさい、なんという豪華布陣。中でも自分は(個人的な思い入れの強さもあり)、加藤彰監督(そして安藤庄平氏)への追悼文にまっ先に目が行ってしまったのですが、その中の中川梨絵さんの追悼文などはとてもウィットに富んでいて軽やかで面白かったです(だから"不謹慎"だってぇの!)。数年前に観たトークショーの中で加藤彰監督について「大好き」とおっしゃっていらした中川梨絵さんですので、内心は深い悲しみに包まれていたはずなのに、重くならないこの追悼文。なんというか"粋"を感じてしまいます。そして勿論その他の素晴らしい寄稿文の数々にも思わず目頭が熱くなってしまいましたし、それ以外の記事も本当に読みどころ満載です。繰り返しなってしまいますが、この映画芸術は間違いなく「買い」ですよ!
ここ最近の異常とも言えるほどの訃報の連続で、我々の悲しみも途切れることがありません。しかしどうでしょう、この執筆陣の名前を改めて眺めているだけでも勇気がモリモリ湧いてくるではありませんか。これだけの素晴らしい映画人が皆お元気でいらっしゃる。そして映画や文献は残って行きます。
「泣いている暇があったら映画を観よう!」
そう自分に言い聞かせている今日この頃です。