この言葉は瀧本先生がある方の質問に対して答えた時の言葉。

 

 

 

今年のゴールデンウィーク10連休の後半は瀧本先生が引っ越しをされた新しい庵に呼んでいただき様々なお話を聞かせて頂きました。本来であれば会費を支払わなければならないような先生のお話聞く事ができました。タイトルの言葉はその時の言葉で、私の人生にとても大事なお話で忘れるといけないので書き残したいと思います。

 

 

 

子育が終わった女性が、喫茶店を出店したいという夢に向かって本気で進もうとされていて、出店するお店の場所もほぼ決まり後は出店する時期やメニューを決めるのみ。先生とその女性と数名の女性陣でワイワイガヤガヤしながらメニューを考案していた時に、お店をどう運営していくのか?という話に変わった時に、その女性が「ランチ時間はお店に立って夜は他の方にお願いしようと思っているんです。」と答えられた。その時に先生が

 

 

 

「自分が自分一人の力では何もできないという事を体感してから人を雇ったほうがいい。」

 

 

 

と力強く答えられた。それまでの会話が女子会のような会話だったのが、急に真剣モードな会話になったのでビックリした。

 

 

 

その後先生は、少し話づらそうに先ほどのトーンとは異なり静かに「恥ずかしいけど、私も数年前にやっと自分の力では何もできないって体感をしたのよ。」と話始めた。

 

 

ご存知の方も多いと思うが、先生は尼僧さんになられる前、400名以上従業員を抱える企業の経営者をされていた。その時の体験を踏まえてお話をされていた。

 

 

 

「多くの雇い主が失敗するのが人を雇うという事なの。なぜかというと、どうしても自分がお金を払っているから上から目線で指示をしてしまうし、”どうしてもっとこうしてくれないの?”とか”トイレ掃除はあなたの仕事でしょ?”とかそういう態度で従業員に接してしまってみんな失敗するの。

 

だから、毎日従業員の人が会社に来てくれただけでも感謝できるくらい謙虚になってから、本当にどん底になって喉から手が出るくらい人が欲しくて、その人が来てくれただけでも”あぁ、こんな商店街の小さな店に来てくれた。本当にそれだけでありがたい”って思ってからでないと人を雇うのは難しいの。

 

確かに今は頭では自分一人では何もできないって理解しているかもしれない。でもそれは喫茶店を経営するということで理解しているわけではないでしょ?その事を理解したら謙虚になれる。だから私はどん底を経験するってすごくいい事だと思うの。謙虚になれるから。謙虚になれば”あぁ、こんな商店街の小さな店に来てくれた。本当にそれだけでありがたい”って本当に思える。

 

私も会社を経営していた頃は上から目線で従業員に言っていたと思うもの。」と、静かに力強く語りかけるように、その女性の目を見つめながらお話をされていた。

 

 

その女性は「そうですね。私はまだ体感していないので実際にどん底になってから人を雇用しようと思います。」とキラキラした眼差しで先生に答えられていた。私はこのお二人の会話を聞きながら、今からどん底を味わおうとしているのに、こんなに目がキラキラしているのはすごいなぁと思いながら聞いていた。

 

 

さらに続けて「次に謙虚になれたのであれば自分の価値観に共感した人を採用したらいい。例えば『なぜここで働きたいの?他にも駅前には有名チェーン店とか、もっと時給のいいお店があるのよ。』と聞いた時に『他のお店で落ちたから』と答える子は雇わない方がいい。そうではなくて『商店街でアットホームな喫茶店で働きたいと思いまして。。。』とか、そういう自分の考えと同じなら雇ってもいいと思うの。だから、雇う時になったらいくつか質問を考えておいた方がいい。」と先生は仰った。

 

 

 

その女性はさらに満面の笑顔になり「はいビックリマークこれから困ってみます。」と力強く答えた。

 

 

 

先生は「自分ができない事が見えた方が謙虚になれる。以前は自分ができない事というのは能力だった。その出来ない能力を補うためにできるのは2つ。1つはお金を払う事。2つめは、この人のためなら何かをしてあげたいと思えるような生き様を見せる事。動脈解離という病気になっていつ血管が破裂するかわからないから、今までは一日何時間も車に乗っていたけど直ぐに売ったの。人に迷惑がかかるから。それからタクシーと電車で移動してた。そうしたら年美ちゃんが『私が会場まで車運転しましょうか?』って言ってきてくれた。経営者の時は給与を払う事ができたけど、今の私にはそんな事ができない。できる事とすれば法話を説くことだけ。今度は色んな法友が微笑み返してくれる。この事がどんなに心強いか。。。本当にどん底まで困ってそういう事が体感できて初めて謙虚になれたのよ。だからまずは困ってどん底を知ったらいい。」とにこやかにお話されていた。

 

 

今書いている内容は録音やノートなどを取っていないので実際に先生がお話されていた単語が違うかもしれないが、内容的には間違っていないと思う。

前々からわかってはいたが、私はまだ人生のどん底を経験していないと思う。だから謙虚になれないんだと思う。謙虚にはなりたいと思うがどん底を経験したくはない。もし私が経営者でどん底を経験したら、きっと私の事だから気持ちが凹んだままで終わるか、景気や政治が悪いとか商店街に活気がないから悪いとか、色んな理由をつけてしまうような気がする。。。

 

同じ経験をしても謙虚になれる人と私のように謙虚になれず怒りの道へ突っ走る人。本当に出来事の解釈次第でその後の人生が変わるんだなぁという事を客観的に聞く事ができて本当に良かった。私はまだ若いと言われている歳なので、これからどん底だと思う事が人生に起きた時に謙虚になれるために起きた出来事なんだと気付ける人でいたいなぁと思ったのと同時に、人生で困る事が起きるというのは本当はすごくいい事なのかもしれないと思えた日でした。