2010.05.19 Wednesday
蟻の巣をほじくり回している息子に、わかりきっている事ではあるが

「何してるの?」 

と問いかけると 

「蟻、全滅。」 

と小さな背中が言う。
なかなか残酷な事ではあるが、皆通って来た道なので
好きにやらせておくと、掘ったり石を投げたり叩いたり。
色々な擬音を発しながら眼差しは真剣だ。

私はその間も手を休める事無く、草を取っていた。
草刈りではなく、草取り。
根こそぎ取るので草の種類によっては地面が絨毯のように
はがれる事も有る。 

真剣にやると結構な労働で、背中を伸ばすと激痛が走る。
指先にも力が入らなくなって来たので一休みしようと
時計を見ると13時をまわっていた。
小腹も空いたので、しつこく蟻を攻撃していた息子に声をかけ、
少し遅い昼食を摂る事にした。

食事を終えて一休みするとすぐに続きを開始すべく
息子と競うように家を出る。
私の作業は変わらないのだが、息子には一応
背の高い草を引っこ抜いておくように指示を出した。

息子は少し背の伸びた草の一軍に目をつけ、
ものすごい勢いで草を引っこ抜く。
もちろん途中でちぎれようが、根が残ろうがおかまい無し。
それでもあっというまに45ℓのゴミ袋が一杯になるほどの戦力。

そう。息子は既に戦力になるのだ。
日頃から簡単な手伝いなどはさせていたが、
戦力と思ったのはこの時が初めてだった。

今まで与えるだけの子育てだったが、これからは違うのだ。
おぉぉぉ。息子よ。助け合って生きて行こうな。

などと感傷に浸っていると、

「あぁー疲れた。」 

と言って草取りを中断する息子。
何して遊ぼうかと見回していると、蜘蛛に捕まった
蟻を見つけ、 

「たいへんだ!!今助けるぞ!!!!」

と叫び、蜘蛛の巣にかかった蟻から蜘蛛を遠ざけて
蜘蛛の巣から蟻を救出し、

「ジョァ。」 

と言いながら頭を垂れるウルトラマンの真似をした。

先ほどまで「蟻全滅」と言って散々殺していた蟻を
助けるって、どうなの?
いや、まぁそのシチュエーションにピーンと来た
ウルトラマンごっこが楽しいのもわかる。
あの場に阿藤快さんがいたらこれまでに無いほどの

「何だかなぁ。」 

が聞けた事だろう。