2010.03.11 Thursday
先日テレビを見ているとサッカーの前園さんが
ブラジルに行った時の話をしていた。

話は前園さんが現地の友人と車に乗っている時に銃を持った男に
強盗にあったという内容で、友人は当たり前のように
お金を渡していたという内容だった。

私的には治安の悪い国では当たり前の話だという感じで聞いていたのだが
番組に一緒に出演していたタレントはテレビ的な驚き方をしていた。

私にも似たような経験がある。

10年ほど前のメキシコシティーでの話。
同行していた仲間の一人が財布をなくした。
否、たしか「スラれた」と言っていた。

私は落としたのかもしれないので「スラれた」とは
言うべきではないと諭しつつも、財布に入っていたカード会社に
連絡させて、すぐにカードを停止した。
カード会社からは紛失届が必要となるので、
現地の警察に届け出るよう指示があったので
夜間ではあったが、地元の通訳とともに警察署に向かうべく
滞在していたホテルのフロントにタクシーの手配を頼んだ。

数分後に運転手だと言う若者が現れて、警察署に向かう。
運転手は夜間なのでメーターは使わないと言うが、
通訳に聞くと妥当な金額だというので安心して乗車していた。

警察署に付いたので料金を払おうとすると
帰りに車が拾えないかもしれないから待っていてくれると
運転手が言うので 

「グラシアス!」 

と言って警察署に入った。

夜間という事もあり、というかお国柄なのだろう
紛失届程度で1時間ほどかかり、警察署を出ると
先ほどのタクシーが待っていた。

しかし、状況は見るからに危険な感じ。
タクシーの周りには、運転手の友達が
バイクや車で集まっており、あからさまに拳銃を
ちらつかせる者までいる。
警察署の前でだ。 

運転手が近寄って来て、

「こんなに待たされるとは思わなかった。
 仲間と食事の約束をしていたのでみんな怒っている。
 食事をおごらなければならなくなったので
 その食事代を払え。」

と言っているらしい。
警察署を振り向くと、玄関まで送ってくれた警官の姿は
もう無い。 
わかっていたくせに面倒だから逃げたのだ。

通訳の顔を見ると、日本から来て申し訳ないが
払うしか無いという表情。

「いくらだ?」 

と通訳に聞くと、有り金全部だと言っているらしい。
乗って来たタクシーの周りを見ると15人くらいの
ロクデナシがこちらを見て笑っている。

「200ドルやるからホテルまで送って行けって
 言ってくれ。」 

と通訳に伝えるのが精一杯の強がりだった。

タクシーの運転手改め強盗君は200ドルという言葉を聞いて
飛び上がってよろこび、

「もちろん送って行くよ兄弟!さぁ!乗ってくれ!」

と言って我々を車にエスコートし、全ての信号を無視して
あっという間にホテルまで送ってくれた。
我々が車を降りた後、先ほどまで拳銃をちらつかせていた
ロクデナシ達も、口々に

「グラシアス!何か有ったらいつでもオレに言ってくれ!」

的な言葉を発しながら夜空に向かって
ピストルを撃ちながら街の方に去って行った。 

まったく。殺されないだけましというお話だが
ラテン系は強盗まで明るい。