Karate
Super Channel VOL7
中本直樹館長代行の解説で振り返る
正道会館
全日本大会2015
9月6日(日)
大阪府立体育会館
小西雅仁の劇的な優勝で幕を閉じた
正道全日本大会!
中本直樹館長代行に大会を振り返って頂く!
無差別全日本大会を制覇!
中本直樹館長代行と振り返る
正道会館
全日本大会2015
小西雅仁と長田悠希の試合
小西雅仁は一度は判定で長田悠希に判定負けという審判団の判定が下り、その判定が審議によって覆り、延長戦に入って、小西の勝利となりました。
主審が見える範囲、副審が見える範囲、そして我々の本部役員席が見える範囲はそれぞれ違います。
長田の下段蹴りも小西に対して有効であったのは事実だと思います。
だが小西の膝蹴りが長田に二度ヒットして確実なダメージがありました。
ダメージがあって長田の腰が落ちた。
ヒットの直後、長田が小西の道着を掴んだことで、審判団の中には、そのダメージを見て取れなかった審判もいました。
距離感の問題もあって、私たちの席や客席からはそれが見えた。
審判団の長田判定勝ちのコールがあった時、私と最高相談役の二宮博昭師範、角田信朗最高師範が
「小西の膝蹴りに対する評価は?」
という話になり、大会監査役を招集し、
「小西の膝蹴りが入っていたのは事実、長田の下段蹴りも効いているように見えたのも事実」
という意見のもとで引き分けになり、延長になり、小西が勝ちました。
左 将来の大器 長田悠希
ただ、長田選手は良い選手です。
今後、伸びてくるでしょうね。
後川副館長の弟子ですが、本当に後川副館長は良い選手を育てます。
でも、後川副館長の若い時のような荒々しさではなく、優しさを感じさせる選手が多いですね(笑)
後川副館長が怖いかも知れません(笑)。
でも良い選手を育てます。
チャンピオンになってもおかしくない二人が棄権しました。
一人は土井一央で、今大会の初戦では、青谷選手を膝蹴りの一撃で倒していますが、どうも土井は正道会館総本部の上級者稽古で、外岡真徳との稽古で負傷したようです。
外岡は今大会、極真の赤鬼、ディミトリー・ルネフとの試合があり、外岡は、土井一央との組手をルネフ選手との試合を想定して稽古していたようです。
大会の結構前ですが、土井本人も、膝を痛めてしまい、途中で棄権する可能性を気にしていました。
もうひとりの伊藤蓮の負傷は、小野寺天汰との試合ではないかと思います。
伊藤の左のあばらに膝蹴りを合わせられたのではないでしょうか。
小野寺天汰選手は大変うまく、強い選手です。
伊藤蓮は十分な練習時間が取れなかった分、大会において、的確な反応ができず、結果として負傷したと思います。
谷川聖哉
谷川聖哉に関しては、練習量は豊富だったと思います。
ただ、彼には今、これまでににない、期待が集まり、プレッシャーを感じていたのではないでしょうか。
今までは、彼は、そう頭を使わずに、のびのびしていられたんですが(笑)
だから、相手を掴まなくて良い場面で掴んだりもしました。
谷川は練習量もスタミナも十分にあった。
でも彼は今回、彼にしたら考えすぎたのかも知れませんね。
やはり、まだ若い。こういう体験を積み重ねて、谷川聖哉は強くなります。
今回、小西の壁はまだ厚かった。
小西雅仁 対 石橋祐典
準々決勝と準決勝、石橋祐典は対戦相手の棄権で、二試合連続の不戦勝になった。
それでスタミナは大きく温存できたけれども、モチベーションを上げていくとか継続して行くとかができなかった部分もあるかも知れません。
山中政信と闘う石橋祐典
石橋は就職して練習量が不足したのが、敗因のひとつでないでしょうか。
一方、決勝であたった小西は日常生活においても、常に試合できるコンディション、環境にあった。
石橋も掴みなどの反則も少なくなり、十分に昨年の欠点を克服して、成長してきていると思います。
決勝戦、延長戦で、小西の膝蹴りが石橋にチップし、再度、小西の上段膝蹴りが石橋の顔面をかすめました。
あの時点で試合巧者の小西は上段膝蹴りで倒す勝機を掴もうと狙ったと思います。
そして再延長で確実にヒットしました。
小西の強さというのは、勝って試合が終わろうが、延長戦になろうが、再試合になろうが、相手に幾ら反則されようが、モチベーションが途切れることも、戦意が休憩することもない。
いつでも、エンジン全開に持ち込める。そういう強さがありますね。
常に攻撃モード、だから勝機を掴める。
ヨアン・アルベルト・プリドラモス
奮戦するヨアン。爆発する後ろ回し蹴り。
ヨアンは常に明るいし、礼儀正しいし、闘争心もある選手です。
元々、キューバで、伝統流派の三段ですが、腰の据わった蹴りを出せていますし、正道空手では、色帯での出場でしたが、これから、正道空手を吸収していけば、素晴らしい選手になって行くでしょうね。
今回のヨアンの後ろ蹴りはいつもよりはキレが悪かった。
地方大会や総本部の出稽古では、もっとキレのある蹴りが出て、一本勝ちしていましたね。
ヨアンは試合途中で脱臼して、その場で治して、闘い続けました。
脱臼してすぐに闘わせることの是非は今後の大会では少し考えたいと思っています。
試合に関しては、「敢闘賞」を贈るのにふさわしい闘いをしました。
今、彼は、阿倍野支部に所属していますが、外岡真徳という素晴らしい先生に出会えたことも大きいと思います。
試合が済んだ後、対戦相手にも礼をし、対戦相手のセコンドにも改めて、礼をする。
それが彼の姿勢だと思います。
他流派からのチャレンジャーである小野寺天汰(聖武会館)と村上祐太(岡村道場)、「素晴らしいな」といつも思います。
私は両選手のお父さんを存じておりますが、素晴らしいご子息を育てられたと思います。
谷川聖哉の勢いに敗れはしたが、正道会館の全関西大会でも実績を残す村上祐太(岡村道場)
今から来年のウエイト制が待ち遠しい。
山田洸誓も実に良い動きを見せました。
杉山大和もよく頑張りました。
まだ高校生で選手としての体はまだ出来上がっていないかも知れませんが、技と練習量の豊富さ、貪欲さ、本部の稽古にも姉の杉山着観と時間をかけて通ってくる。
まぁ、姉の着観に比べて、大和の方が性格的には優しいと思いますが(笑)
杉山大和は今回は「花マル」です。
2015年6月の全関西大会より。姉の着観より心やさしい大和?
少年部演武
スペシャルマッチ
地主正孝(正道会館)VS 子安慎悟(正道会館)
もともと二人は大変な実力者ですが、地主正孝は前年度の全日本重量級チャンピオンであり、一方、子安慎悟は試合を離れて、八年という歳月が経っている。
その部分の差はあって、子安は本来の実力や動きは出なかった。
この試合を持ちかけて、僅か三カ月です。子安には十分な時間はなかった。時間を与えられなかった我々の責任です。
勿論、地主正孝も強い人間です。
子安はあの体格で空手でもプロ格闘技のリングでも闘い抜いてきた人間です。
「ミスター正道」と称されるのも当然の人間です。
今回。子安は判定負けという形になりましたが、子安はまた、これを糧にして大きくなると信じます。
また地主に関しては、総合格闘技の高瀬大樹も
「地主選手と稽古させて下さい」
と正道会館総本部に来るし、地主はその相手もできる地主にはそういう色々な闘いに触れる機会が身近にあった。
余談ですが、高瀬選手は地主にプロのリングでKOされたことがありますが、それを「学ぶものあり!」と認めて、礼を尽くして学びに来る高瀬選手は大変立派だと思います。
門井敦嗣(極真) VS 沢田秀男(正道会館)
歴史的事実として、極真会館は正道会館のルーツであるし、人材の宝庫でもある。
その極真会館と交流できることは素晴らしいことだと思います。
両選手、素晴らしい技の応酬をしていましたし、沢田の良いミドルの蹴りも出ていました。
沢田自身、よく動けていました。ところが、その沢田がマットで急におかしなそぶりを見せ始めた。古傷がおかしくなったようですね。
結果としては残念ですが、大会では古傷に攻撃を貰うことは当然ありますから、文句のない門井選手の一本勝ちですね。
外岡真徳(正道会館)VS デイミトリー・ルネフ(極真会館)
ルネフも本当に強かった。この試合は正道ルールで行いましたから、ルネフとしたら、長年、彼が親しんだ極真の大会でなら、当然に厳しく反則になる攻撃を外岡が仕掛けてくる。やりにくかっただろうと思います。
スペシャルマッチ第二試合で、沢田が負けた後、
「これで正道の自分が負けたら大変だな」
と思ったらしいです。
試合の前夜、ルネフ選手が大会に来て下さいましたが、その時に正道会館の会員たちが
「ルネフってすごいな!」
「外岡が可哀相!」
とか、みんな口にする訳です。
私も、ルネフに挨拶しながら
「ルネフの方が、体一回り、外岡より大きい。体の幹も凄い」
と思っていました。
外岡は随分稽古していたし。かなり、今回の大会は意識していたはずです。
試合では外岡の上段回し蹴りが浅くルネフを捕らえたし、外岡の突きがボディに入っていました。
準優勝 石橋佑典 (南大阪本部)
第三位 谷川聖哉 (総本部)
第四位 伊藤 蓮 (総本部)
第五位 ヨアン・アルベルト・プリドラモス(阿倍野支部)
第六位 土井一央 (総本部)
第七位 上村康太 (総本部)
第八位 橋本悠平 (横浜本牧支部)
敢闘賞 ヨアン・アルベルト・プリドラモス(阿倍野支部)
敢闘賞 上村康太 (総本部)
最優秀選手賞 小西雅仁 (総本部)
大会で選手に頑張ってもらうため、自分たちは環境を作る裏方で頑張る訳ですが、今回、総本部の高原信好師範が企画立案など、物凄く頑張りましたね。大会の主審から、事前告知、大会と同時配信のユーストリームから様々な情報の配信から色々な役割を果たしました。本当によく頑張ったと思います。自分もそうですが、高原も総本部の師範という役職にあっても真っ先に準備にあたって行く、率先垂範の姿が大事だと思います。
今大会、企画立案運営で活躍した正道会館の高原信好師範とスペシャルマッチで副審を務めた極真会館の田中隆昌師範。旧知の仲である。
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©Takeru Fudo
9月9日UP